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2007年7月

2007年7月31日 (火)

風水教室

↓やっぱり永遠に2位?
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今日はアサミちゃんに誘ってもらって、風水教室に行って来ました。
今日の演目?は、『風水とガラクタ』
恐ろしいですが、リンコにはぴったりのテーマ。
ですが。
今日ですね、ココセレブのメンテナンスらしくて、コレ、アップできなさそうです。
なので、詳しくは後ほど書きます。
一旦さようなら〜。

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2007年7月30日 (月)

サマーセール

↓やっぱり永遠に2位?
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困りました。
最近大サマーセールの御知らせが頼みもしないのにどんどん舞い込んで来て、煩悩だらけのリンコはフラフラです。
このところチカちゃんの影響で素敵な大人の女性ブランドに目覚めたリンコ(とついでにアサミちゃん)。いつもだったら『1シーズンのみで後は洗濯で溶けてもいいや服』を、16.99ドルとかそんなアホみたいな値段で買いまくり、なんじゃこの値段はーぎゃはははは、とショッピングして満足していたんですが、やっぱり良いものは良いんですねえ。
なんていうか、同じ白やグレーでも品がある白、そしてグレーっていうんでしょうか。
しかも普段のお値段が『アホか!』というようなお値段なので、そこから50%オフとか70%オフとか言われると、たとえただのコットンのタンクトップが75ドルでも、『や、やすーい!』と思ってしまう人間の心理(女性心理か?)。恐ろしいです。
あんなに神様に「もう衝動買いはしませんから許して下さい」と、許しを乞うた内容そのものは忘れてしまったけど、誓いまくったことなど100万マイル先に彼方に忘れ去ってしまいました。
何を買ったかということを詳しくご説明すると、なんか自分が人として失格な気がしてくるので、その辺は曖昧に濁させて頂くことにして、例えばですね……

073107_0126
↑この白いサンダル?っていうの?ミュール?なんでもいいですが、コレね。
コレ、17ドルぐらいです。軽くて履きやすいです。

073107_0128
↑で、こっちね。コレ70%オフで、上の靴の約10倍のお値段。
世の中の価格設定ちゅうものそのものに、疑問を投げかけたくなります。

価格設定といえば、今日ちょっと自転車でダウンタウンに運動&散歩に出かけたんですが、ノリータあたりに新しいアパートが建つみたいだったんです。
で、看板が立ってました。
なんとかかんとかノリータっていう名前のアパートで、1ルームから4ルームぐらいまで色々あります、という内容の説明が書いてあり、その次に価格帯が書いてあったんです。
『from $6700000』
えーと。いち、に、さん、し、……。暗闇で目が利かないのを無理して一生懸命ゼロの数を数えてみて、しばらく考えました。
うーんと……六百七十万ドルか……うーんとえーと……6700万円?へえー。最近のマンハッタンにしちゃ、格安?なんでかなあ……。
……ん?
もう一度よく考えたら。
670万ドルってああた、7億円?
な、な、七億円!!??
アホかっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ。
どどどどどどどど、どこのたわけが七億円のワンルーム買うんじゃっっっ!
あーアホらしい。
世の中間違ってます。
ホントいい加減にしてほしいです(何を?)。
でもあれだな。ドナルド・トランプとかが投資目的でああいうの買うのかな。それともアラブの石油王?
誰でもいいけど、できればそんなもん買うお金があるんだったら、その十分の一でいいからリンコにめぐんでください。お願いします。(誰に頼んでいるのか)

072607_0424
↑ぐーぐー



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2007年7月29日 (日)

ダンス?

↓ああ2位!チワワちゃん、早く良くなって〜。
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今日もまたまたブルーシャさんにお誘いいただき、リンカーンセンターにダンスショーを見に行きました。
本日の演目は、Second Visit to the Empressという謎めいたもの。Shen Wei Dance Artsとチケットに書いてありますが、これがコリオグラファーのお名前なのか、ダンスチームの名前なのか、無知を無知のまま放置する私には、さっぱりわかりません。

072907_1443
↑プレスチケットです。ブルーシャさん、いつもありがとう〜。

とはいえ、わかりません。と言い切って放置するのは大人げないかな、とちょっとだけ反省したので、鞄の中に入っていたプログラムを見てみると、Shen Weiさんというのはやっぱりコリオグラファーさんの名前でした。セットと衣装もShen Weiさん。コンセプトとディレクションまでShen Weiさん。大活躍です。

072907_1455
↑一応舞台が始まる前の幕がきれいだったので撮ってみたんですが、
左のおじさんのハゲ頭がまぶしくてたまりません……。

ショーが始まってから終わるまで約1時間20分。短い演目でしたが、最初から最後まで、私にはこれがお芝居だったのかミュージカルだったのかダンスだったのかオペラだったのか、わからずじまいでした。
綺麗な衣装をつけてお化粧を施して登場したのは4人だけ。後のダンサー達は、皆同じグレーのシンプルな衣装に、ヘアは丸刈りか引き詰め髪。
4人のアクター達が、セリフとも歌ともつかない感じのセリフを延々と唄い続け、その場面ごとにグレーのダンサー達が深海ワカメかイソギンチャクのような動きでわさわさと踊り続けていました。言うなればBGMダンスという感じでしょうか。
印象的だったのは、ヒロインの女性が京劇風のメイクでとても美しかったことと、その声が頭のてっぺんからヒヨヨヨヨヨーンと出ているような甲高い声だったこと、そしてなんかわけがわからんけど多分じいさんぽい人が、なんかすごい衣装で登場したことです。
そのじいさん風の人は、まあなんていうか、頭のてっぺんにグラセン駅の真ん中にある時計台を赤く塗ったやつを突き刺している赤いオバQっていうんですか?そんな風体で、手には金の大きな玉がついた杖を持っているんですよ。で、目の回りはまっ赤に隈取りされていて、膝ぐらいまで白ヒゲがぼへへへーとのびていて、そりゃもう言うに言われぬ有様でした。

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なんとなく回りの観客達もどう判断すれば良いのか迷っている風で、最後に立ち上がって拍手喝采をしていたのは、チャイニーズの観客が多かったように思いました。
ショーが終わった後は、赤オバQがすごかったわ……とボーっとしながら、ブルーシャさんおすすめのカフェでお茶です。
とても可愛い内装と充実の紅茶揃えがチョー魅力的。ここは是非また来なければ。

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↑本格的アフタヌーンティーセットです。……実はかなりむさぼり食った後に撮った写真です……。

紅茶はポット入りで20杯ぐらい入っているかと思うぐらいの量ですし、サンドイッチも紅茶も手作り焼きたてのスコーンも、全て本格的な超美味。いやー。おすすめです。女性には特に可愛らしい内装や、食器類の趣味の良さもまた格別です。
週末には30分以上並ぶこともあるそうです。

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↑チョーおすすめ、とメニューに書いてあったアールグレー系のお紅茶にしてみました。美味しかったです!!

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2007年7月28日 (土)

チョビ

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今日は蒸し暑い一日でした。
気温はさほどではなかったように思いますが、湿度が高くて日差しが強かったです。
そして、先日の爆発事故の影響なのか何なのか、あちこちのお店でクーラーが故障している風でした。なぜならこのクソ暑いのに、お店の入り口を開け放っているお店があちこちで見られたからです。

そんな中、従妹のきょうこちゃんに頼まれたサンダルショッピングにチョビと出かけたリンコ。3歩歩いた瞬間から、チョビは舌がべろりん私も背中に汗がたらり状態。暑くてたまらんわっ、と独り言を言いながらてくてくと靴屋さんに向いました。
本日ショッピングに向かった靴屋さんは、以前きょうこちゃんが来た時に二人で大フィーバーした快適靴屋AEROSOLE(エアロソール)。ただいまクリアランスセール中なのです。
結局79ドルのものが19.99ドルという激安サンダルをゲット(きょうこちゃんは足が小さいので、セールでもサイズが残っている)。大満足です。
で、ですね。
チョビと一緒に行ったそのお店が、まさしクーラー故障中。暑いのなんのって、靴を選んでいる最中、まるで拷問のような暑さでした。クーラーが故障しているというだけでなく、大セール中だったのでお客がわんさか。照明やら人いきれやらで、お店の中はサウナ状態でした。
しかしそんな中、あの見ただけで暑苦しい冬犬チョビが大人気だったんです。

ヨーロッパから観光で来ている女性二人、夫婦、団体。
みんな「あらっ。ハスキーだわ。かわいい!」
とか
「まーなんてお利口さんなのっ。かわいいわ。ハスキー!」
など、なんか知らんけど大人気なんです、チョビ。
おまけに店員さんにまで
「あー。ハスキー。私のドリームドッグなのよー。一緒に暮らしてみたいわあああ」とウルウル切ない目で見られる始末です。
そして、必ず皆さん質問するのが
「男の子?女の子?」
「名前は?」

「何歳?」
です。
最初の二つの質問は、なんてことないのですが、最後の質問に「12歳」と答えると、みな一様に「えええええええっ!12歳っ!見えない!見えないわっ!パピーだと思ってたわー」と驚いてくれるんです。
で、次に必ず来る質問が
「この子(チョビね)が何歳の時から飼ってるの?」
です。
で、「3ヶ月」
と答えると
「まああああああああっっっ!じゃずうっっっと一緒に暮らしてるのねっっっ!」
と感動してくれるんです。
あと結構訊かれるのが
「いくらだった?」
です。
ちなみにチョビはバーゲンセールで500ドルでした。定価700ドルが500ドルに値下がりしていたんです。今日行った靴屋の店員さんは、ニュージャージーのペットショップで2800ドルのハスキー犬を見かけたそうです。死ぬ程欲しかったけど高すぎて無理だったわー、と嘆いていました。
チョビもニュージャージーのペットショップ出身なんですが、どうしてそんなに値段が違うんでしょう……。

Chobismall_1
↑バーゲンセールで購入(?)し、家に連れて来た翌日のチョビです。
頭にくっついているのは、お家が決まったお祝いにペットショップの人が頭にくくりつけてくれたリボンです。可愛いけど似合ってません。

Chobifun_1
↑この頃はコワくてコーヒーテーブルの上から降りることが出来ず、クーンクーンとないていました。左にいるのは若かりしころのフンフンです。

Chobisleep
↑必死で寝ているチョビ。

あー。子犬のころってホント二度とないんですねえ。
懐かしいです。
私はメロウになった老犬や老猫が好きですが、子犬子猫も本当にたまらなく可愛いですね。
バーゲンセールだったチョビも今や12歳。態度は相変わらず子供っぽいですが、寝ている時間が多くなってきたし、外でオシャッコする時も、時々膝がぶるぶる震えてたりしてちょっと心配です。
できるだけ平和で穏やかで幸せな老後を過ごさせてあげたいなあ、とめっきり白髪が増えたチョビを見て思う今日この頃です。

072707_2329
↑こんなに大きくなりました。

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2007年7月27日 (金)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<8>

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さて、一本前の電車が線路上の何かとぶつかったため後発の電車が動けなくなった、というアナウンスが流れてしばらくたちました。
始めのうちはざわつきながらもあまり文句を言う人もなく、車内は比較的静かでしたが、どうも電車がすぐに動き出す気配がない様子に、だんだん乗客達もいらつきはじめました。
私とキヨPはと言いますと、いやーこんなことになるんだったらコーヒーとかおやつもっと買っておけば良かったねえ、とノンキにもほどがある態度。ホントにまだまだ待たされるんだったら、コーヒー買って来たいねえ、と話し合い、ちょっとそこらへんで油を売ってる車掌さんに様子を聞いてくることにしました。
たたたと通路を走り、プラットホームにいた駅員さんに状況を訊きましたが、彼らも情報を待っている状態で、何もわからないとのこと。でもいつ何時列車が動き始めるかわからないので、コーヒーが欲しいなら一両目のカフェ車両で買いなさい、と言われました。
座席に戻り、キヨPに状況を説明していると、女性の車掌さんが私達の車両に入って来て大きな声でアナウンスをはじめました。
「一本前の列車が線路上のSUVと衝突事故をおこし立ち往生をしています。この列車も出発が遅れています。何時頃発車できるかわかりませんが、状況が分かり次第御知らせします」
これを聞いた後ろの方の座席の乗客が文句をたれはじめました。
「SUVだなんて聞いてないっ!さっきの車内アナウンスでは、違う種類の車だと言ってた!」
「僕が聞いたのは、車以外の大きな何かだったぞっ」
わーわーわー。といきなり数人が口々にそんなことを言って騒ぎ始めました。
……ていうか。
別に車の種類なんかどうでもいいていうか。むしろ電車がぶつかったのが巨大カエルだったとか言うなら、その辺のところははっきりさせてほしいけど、車かなんか大きくて固いものなら何でもいいような気が。
「OK。一本前の電車が線路上の『何か』にぶつかりました。これでどうよっ?」
車掌さんもブチ切れ寸前。みんないらだっています。コワいです。
と、そこへ通路を挟んで反対側にすわっていた、若い女の子が私の席に近寄って来て、彼女の手の中にあったサイドキック(メール機能のある携帯電話です)を手渡してくるではありませんか。

Sidekick_1
↑サイドキックです。ちょっと欲しいかも。

?え?なに?友達がニュースかなんかでテロだって知らせてきたのか??
ちょっとビビった私とキヨP。
慌てて手渡されたサイドキックを覗き込みました。
が。
字が小さすぎて読めません〜。どうせ私は老眼よ〜。ちくしょー。マジで見えないー。たすけてキヨP〜。
「私も読めないかも」
ひえ〜。うそー。なんとかしてよううう。
でもでもキヨP。ちゃんと読み上げてくれました。
"What happened to train?"
えーと。電車に何が起こったの? て? 訊いてる? ていうか、わけがわからないんですけど。
しばしどうすれば良いのか分からず、「これ、どういう意味?」と彼女に問いかけても、彼女も肩をすくめるだけで一言も発しません。
しばらくあれこれ問いかけ続けたところで、はっとキヨPが気づきました。
「もしかして、彼女、耳が不自由なんじゃないの?」
あっっ……!そうかっ!
慌ててサイドキックを手にとり、今の状況をタイプ…………しようと思ったけどおくさん。キーボードが米粒ほどの大きさで、薄暗い車内ではマジで何がなんだかわかりません。暗闇では本当に何も見えないリンコ。自分のアパートでも、暗闇の中、壁で頭を打ったりチョビにけつまづいたり、無茶苦茶なことになるほど、闇で目がきかないんです。
ひー。見えない。何がなんだかわからんー。たすけてキヨP−。
「玲子ちゃんがんばって!」
うひー。がんばってとか言わずに、なんとかしてくれっっ。
「ここはもう玲子ちゃんがなんとかするしかないよ」

なんでじゃいっ。ひいいいー。こうなったらもうヤケじゃー。
手探りで米粒大のキーボードを操り、なんとかかんとか状況を説明しましたよ。タイプして。
私が打った文を見て、納得した様子の彼女は、胸に手を当てにっこりと微笑んで、自分の席に戻っていきました。
それからものの2分も経たないうちに、また車内アナウンスが流れました。
「あー。事故の状況ははっきりわかりませんが、この電車はもうどこにも行きません。電車を降りて駅舎に戻ってください。この電車はもうどこにも行きません」
ぎええええええええええええええええ。
もうどこにも行きませんだとおおおおおお。そんなアホなあああああああああああ。
と騒ぐ暇もありません。周囲の乗客達は大急ぎで荷物をまとめ、そそくさと列車から降りて行きます。
私達も降りなくちゃ。慌ててさっきの彼女のところへいき、ぱっとサイドキックを借りて説明をタイプ。彼女も慌てて荷物をまとめはじめました。
プラットフォームに出てからも、彼女のことが気になって仕方がなかったので様子を見ていると、駅員さんに群がる人だかりに彼女も加わり、なんとか説明してもらおうとしていました。
これは私達が助けてあげないと、彼女大変だよね、きっと。
とキヨPと頷き合い、またサイドキックにタイプ。駅舎でしばらく待ちなさいということと、彼女の行き先を訊きました。すると彼女もNYに戻るところらしいことが判明。
キヨPが「ずっと行動を共にしてあげたほうがいいかも」と。
優しいキヨP。素晴らしい。
結局待てどくらせど新情報は無く、切符は希望者には払い戻しをするけれど、代替列車の予定は無く、次の列車(しかも9時40分発予定)が予定通り発車できるかどうかもわからないとのこと。こりゃ困った。どうやってNYに戻りゃいいんだー。
レンタカーにしようか……。耳の不自由な女子大生のハンナちゃんも困り顔で、「もしあなたたちさえ良ければ一緒に乗せて行って」と筆談で書いてきました。
あー。レンタカーとなると、やっぱり運転は私?
「私、今日国際免許証持って来てないし」とキヨP。
わたしは運転は得意なんですが、暗闇で目が利かないうえに、ボストンーNY間を運転なんか一度もしたことありません。まっすぐ一本で帰れるんだけど、万が一道に迷ったらどうしよう。コワい。コワいよう。
ビビりながらも、これはレンタカーしか今日中にNYに戻る手は無い。と結論。
窓口の、切符払い戻しの列に三人で加わりました。
私達の前に立っていたアメリカ人女性。キヨPが彼女の手元を見ると、彼女もNY行き。
「どうやってNYに帰るつもり?」と声をかけるキヨP。
するとエミリーという名前の彼女。
「チャイニーズバスよ」
とうんざりした顔で教えてくれました。
あああああっっ。そうかそうだった。その手があったかっ。

実は、NYのチャイナタウンには、世にも恐ろしい『チャイナバス』というものがあるのです。その『チャイナバス』は、NY−ワシントンDC間、NY−ボストン間をなんと15ドルで走っているんです。15ドルですよおくさん15ドル。15ドルっていうと、チョビのウンチ袋12ロール1セットしか買えない金額ですよ。それで、4時間5時間の旅ができるという、恐怖の激安チャイナバス。それぞれの都市のチャイナタウン間を行き来しているこのバスは、私も一度でいいから乗ってみたいとは思っていたんです。
なんか色々噂はきいていたんですよ。
道中ずっと中国語の映画が大音量で流れてるとか、客が全員持ち込みで食事をするのでバスの中は中華料理の臭いで充満してるとか、トイレがまあなんていうかそのつまりあんまりアレだとか、道中ずっとカラオケが大音量で流れているとか、恐ろしい噂ばっかりです。
しかし背に腹は代えられません。自分で運転するよりずっと気楽だし、15ドルだし。
キヨPとハンナちゃんも同意し、一緒にバス停まで言ってくれるという親切なエミリーさんと4人、チャイナバスに乗ることに決定しました。

あー念願のチャイナバスかー。
まさかこんなことで乗ることになるなんてなあー。あーあーあー。
うれしいのか悲しいのかよくわかりません。

2000nydc1
↑まあこんな感じです。はい。

バスは1時間に1本。
次のバスまで約30分です。でも旅の面白い所は、こうしたちょっとした出来事と、人との出会いです。
ハンナちゃんはコロンビア大学の学生。将来写真家になりたいそうです。
エミリーさんは、旅を終えてニュージャージで待っている婚約者の元に帰るところでこのアクシデントに見舞われたとか。
4人で楽しくおしゃべり(と筆談)を交わし、記念写真までとりました。

4ofus1
↑左からキヨP、エミリーさん(顔小さい〜)、ハンナちゃん、リンコです。
バス停で写真を撮るのは禁止だったらしいんですが、知らん顔して皆で撮りまくりました。

チャイナバスは予定通り出発。
車内はさっきの電車にあぶれたアメリカ人乗客でほぼ満席でした。暗くてなんとなーくうらぶれーた雰囲気が、行きのサルーンカートはかけ離れていましたが、それはそれでギャンブルに負けて夜行バスでカジノから戻ってくるような気分が味わえましたし(だから何じゃい)。

Chinesebus
↑暗い車内。ほとんどの人が眠っていました。
どよよよよーん。

ひたすら走り続けたチャイナバスは、4時間弱でNYに到着。猛スピードだとの噂に違わぬ早さでした。
これからさらに電車とバスを乗り継いでニュージャージーに行くエミリーさんとは、ここでお別れです。
メールを交換し、写真を送るわね、と互いに約束しあい、彼女とお別れしました。
ハンナちゃんはアッパーウエストサイド。キヨPはミッドタウンウエスト。リンコはミッドタウンイースト。3人でタクシーをシェアすればいいね、と話し合い、通りにでてタクシーを停めました。
最後に降りるハンナちゃんを先頭に、3人で後部座席に乗り込み、ドライバーに「3ストップね」と告げました。
「どことどことどこ?」とドライバー。
「最初がミッドタウンイーストで、それからウエストサイドに行って……」
「とんでもない!冗談だろ」
…………い、今、なんと言った……?
「街を横切るなんて、俺はしない。降りてくれ」
………………な、な、な、なんだとうっっっっ?
今、なんと言った?え?降りろと?冗談じゃないと?俺はしないだとううううううううううううううっっっっっ???
疲れといらだちがここに来て爆発。するぞ。いいのか?爆発するぞ?え?いいのかっっ??
「絶対イヤだ。降りろ」
「嫌だと?えっ?降りろって?今言った?降りろとか言ったか?今おのれの口で言ったかっっっ?えっっ?」
「冗談じゃない。そんなアホみたいな運転をするやつはどこにもいない」
なんだとうううううううっっっっっっっっっっっっっ!!!!
てめえどの口でそんなことをいいやがったかええっっこのタコボケカスラッパっ!!
「ふざけんなっっこっちからお断りじゃっっっこの法律違反悪徳ドライバーっっっっ!!」
言い捨てると、何がなんだかわからんハンナちゃんと、事情はわかっているけれどリンコの激怒ぶりに気圧されている風のキヨPを後に残し(ヒドい)、ばたーん!とドアをあけ、どっかーんと降りたリンコ。
慌てて二人もついて降りてきたところで、ドアを足で蹴ってしめてやろうと、いや、マジで思ったんです。
こんなクソタクシードア、足で十分じゃっっ!と片足をあげかけたところで、ハンナちゃんが『パタン』と静かにドアを閉めてくれました。
……ああ……怒っちゃいかん。怒っちゃね。うん。いかんいかん。
と思ったのは思ったですが、走り去って行くアホタクシーに「死ねアホタクシーっっ!」と罵声を浴びせ中指まで立ててしまい、横に立っていた黒人のおじさんにあきれ顔で見られてしまいました。
あー。ホントに修行が足りません。
でもあいつ、マジで頭来たわ。
今度遭ったが百年目。絶対仕返ししてやる。(どんな仕返しじゃ)

ということで、最後にはリンコの激怒下品タクシー喧嘩で幕を閉じてしまったボストン一日旅行。
最後に激怒はしましたが、楽しくておっとりでさわやかな思い出がいっぱいできました。
可愛くて優しいキヨPと、またどこかに行きたいねえ、絶対行こうねえ、と約束もしましたし、可愛くてガッツのあるハンナちゃんや親切なエミリーさんとも出逢えました。
アホタクシーに久々に切れて、アドレナリンも大量に放出されたことだし(?え?)、今度の旅は本当に記念すべき有意義な旅でした。
あー。しかし、やっぱりドア、蹴ってやればよかった。ちくしょー。


本日の標語:短気は損気


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2007年7月26日 (木)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<7>

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工事現場を後にし、チャイナタウンの方角を目指して歩き出しましたが、なんとなくどこのお店も閉まってる風味。レストランとメイシーズは開いていましたが、どちらも用事はないし。どうしようかね、どんなお弁当を買おうかね、と話し合っているうちにセブンイレブンを発見。お手軽にセブンイレブンでお弁当買うかね、と中に入りました。
同じアメリカでも、なんとなく売られている商品が違うのがコンビニの面白いところ。バナナ味のソーダに興味津々でしたが、今はお茶が飲みたい気分。キヨPのマネをしてプアール茶を詰めて保ってくれば良かったなあ、と後悔しながら怪しげな『Green Tea』と書かれたボトルのものを買ってみました。
おやつに『Devil Dog』(チョコレート味のお菓子)とミカンのシロップ漬け(大好物です)を買い込み、後は駅の中でサンドイッチを買うことにして、セブンイレブンを後にしました。
もうこの時点でリンコの足は限界灘。
「もうわたしゃ歩けません〜〜〜」と情けない声で訴え、チャイナタウン探訪は諦めさせていただきました。

さて。サウスステーション駅。正確には『South Station』です。じゃないとサウス駅駅になっちゃいます。

Dsc01648
↑大きくて立派な駅です。NYのグランドセントラルターミナルを一回り小さくしたぐらいかな?

中に入ると高い天井から時刻表がバーンとぶら下がっていて、色んな売店もありました。売店の中に『Au Bon Pain(オーボンパン)』というサンドウィッチ屋さんがあったので、ここでフランスパンに生ハムとチーズを挟んだサンドウィッチを作ってもらい、電車の中に持ち込むことにしました。
まだあまり食欲爆発していないキヨPは、大人しくお水のボトルを購入。そうこうしているうちにあっという間に電車の時間がやってきたので、そそくさと電車に乗り込みました。
私達が乗った電車は、全席自由席車両。
程よくすいていた車内で、うまく隣り合った席を確保し、まずはお弁当をテーブルに広げます。

Trainbento
↑怪しいグリーンティーのボトルと左下がDebil Dogsです。
朝からボストンを共に旅したバナナ。黒ずんできました。
右の包みがサンドウィッチです。
フランス風に、チーズ無しの生ハムとバターだけにすればよかった……。

Kiyoptrain
↑電車内のキヨP。完璧なアイドル笑顔の前には、最後まで手放さなかったHQビデオのビニール袋。
心なしか、行きよりもかさ高くなっているような気が。

さて、出発を待たずサンドウィッチをがっつきはじめたリンコ。
隣のキヨPも、突如食欲が戻って来たらしく、生温いヨーグルトに文句を言いながら、おやつのカールをボリボリと食べ始めました。
ガツガツお弁当を食べ続け、ふと気がつくと時刻は7時前。
あれ。
確か出発時刻は6時40分だったはずじゃ?
口の中をサンドウィッチで一杯にしながら、きょろきょろと辺りの様子をうかがっていると、車内アナウンスが流れました。
『………………というわけで、しばらくお待ちください。詳細が分かり次第、皆さんに御知らせします〜ガーガーピーピー』
ええええ?ななに?何があったって?スピーカーの音が悪くて全然聞こえないよう。
ほどなく再び流れる車内放送。今度は割れ鐘のようなデカ声。
『電車が線路上の何かにぶつかり動けなくなりました。何時に出発できるか、まだ何もわかっていません。今係のものが現場からこちらに急行しているところです。詳細は後ほど御知らせします』

えげえええええええ〜〜。線路上の何かって何よう。そんなこといきなり言われてああた、どれぐらい待たされるのー。
口にパンをいっぱい詰めたまま、モガモガ文句をたれていると、隣のキヨPも
「このまま何時間もってことになったらどうしようねえ」といつもののんびりした口調で。
いやー。何時間もってそりゃ困る。
定刻で出発したって、帰宅は夜11時過ぎよ。あんまり遅くなったら、チョビが待ちくたびれちゃうよ。
どうなるんじゃ一体。

<ああ。なんか長くなっちゃって書ききれなかった。結末は明日!(大した結末じゃないけど)>

Chobi2
↑ヘッヘッヘッピスピスヘホヘホ。


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2007年7月25日 (水)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<6>

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さて、昨日ちょっと脅しをかけてみたら、キヨPブログ でキヨPがボストン旅行記をはじめてくれましたー。ふふふ。これで歴史についての詳細は、キヨPに任せられるわ……ふふふ。

虐殺現場を見て満足したキヨPとリンコ。
最後はやっぱり『ボストン茶会事件』だよねっ。ということになりました。
『ボストン茶会事件』とは……。アバウトに説明させていただくと、なんかよくわからんけど船かなんかから、ガーと紅茶入の箱を海に投げ捨てまくった事件らしいです(アバウトにもなっとらんわ)。で、これも独立戦争の引き金か?と思いましたが、ちょっとよく思い出せません。
と、これではあんまりなので某○ィキペディアで調べてみますと(自分でも一応努力はしてみる)
『1773年12月16日の夜に事件は起こった。毛布や顔ペイント等でインディアン風の簡易な扮装をした3グループ、50人(30~60人という説もある)ほどの住人(Sons of Liberty)がボストン港に停泊していた東インド会社の船を襲撃し、「ボストン港をティー・ポットにする」 と叫びながら、342箱の茶箱を海に投げ捨てたのである。騒ぎを聞いて駆けつけた多くのボストン市民は、加勢も制止もせずこの様子を見つめていた。これが 「ボストン茶会事件」と呼ばれる事件である。この時捨てられた茶の損害は1,000,000ドルに上るといわれる。当時、この事件にはアメリカ人の間にお いても賛否がわかれ、東インド会社の賠償請求に対してベンジャミン・フランクリンは私財をもって”茶の代金(茶税分を除く)”の賠償を試みようとしている (ただし結局、賠償はしていない)』

「ボストン港をティーポットにする!」
というセリフも秀逸ですが、なんといっても説明のしめくくり (ただし結局、賠償はしていない)が素敵です。
しかも、これだけでは肝心の事件の経緯がさっぱりわかりません。
実は○ィキペディアにはちゃんと事件の詳細が載っています。全文転載すると長すぎるし、叱られるかもしれませんので、ご興味おありの方は調べてみてくださいね。

○ィキペディアには虐殺事件についても詳細が書かれています。
『事件はキングストリートで始まった。かつら製造業の若い弟子エドワード・ガーリックが、イギリス軍の士官ジョン・ゴールドフィンチ大尉に散髪代の支払いが 遅れていると訴えた。ゴールドフィンチ大尉はその日に支払いを済ませていたのだが、ガーリックに返事をしようとしなかった。ガーリックは1時間後にも苦情 を大きな声で訴えていたので、税関の外で歩哨に立っていた兵士ヒュー・ホワイトがガーリックを呼びつけて頭を殴った』

『頭を殴った』のくだりにグっときました。まるで小学生のケンカみたいです。同じく詳細は○ィキペディアを見ていただきたいですが、とにかくことの発端は散髪らしいです。しかもゴールドフィンチ大尉はカツラだったらしいことが、歴史的にバレていて気の毒です(そうなのか?)。

Boston_massacre
↑○ィキペディアに載っていた、虐殺の様子。
リンコ画とは大分趣が違います(当たり前じゃ)。

そんなボストン茶会事件現場へは、虐殺現場エリアから地下鉄に乗って行かなければなりません。
茶会事件現場エリアには、帰りに乗る予定のアムトラックが発着するサウスステーション駅があるので私達には好都合。ボストンコモンというNYのセントラルパークみたいな公園そばの駅からほんの2駅でサウスステーション地下鉄駅に到着しました。
船から紅茶を投げたんだから、やっぱ現場は海だよね。
と、水際までテクテクと歩いてみましたが、どこにも紅茶を投げ込めそうな船は見当たりません。
地図とにらめっこしながらキヨPとああでもないこうでもないと話し合い、さんざんうろうろした挙げ句発見したのがコレ。

Dsc01651
↑『Boston Tea Party Coming Soon!』カミングスーン!って言われても……。

工事中でした。紅茶投げ込み現場。
まあウィキペディアで調べれば、どんな人達がどんな風に投げ込んだのか、イラストもついてるんでしょうけど、せっかくボストンまで来たのにい。しかもキヨPは、しばらく来られないかもしれないのにい。
と、がっかりしました。が。仕方ありません。無いものは無いんです。
仕方なく工事現場の写真をとり、チャイナタウンの方角へ歩いて帰りの電車で食べるモノを仕入れることにしました。

<いよいよ明日は悲劇の終末!(?)待て次号!>

Chobichan_1

↑おまけ。ハヘハヘスピスピ

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2007年7月24日 (火)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<5>

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さて、おひゃるごはんを食べ終わりいよいよ観光。
とはいえ、女性二人旅となるとついつい食事の席でおしゃべり爆発してしまい、気がついたら2時半過ぎ。
ひいいいいー。帰りの電車は6時40分なのにいいいー。早く回らないと、どこにも行けないまま全てが終わってしまうわー。
と二人で大騒ぎしながら外に飛び出しました。
ボストンの良い所は、フリーダムトレイルという観光客の強い味方があるところです。
歩道に引かれた赤いライン(時々レンガ)をたどれば、おすすめの観光スポットを無駄無く回れるという、便利なモノ。フリーダムトレイルは全長4キロ。これなら予定時間内に回れそうだぞ。

Freedomtrail
↑コレがフリーダムトレイル。たどって歩いているとなんとなく犬ぽい気分になれます。

しかし恐るべきは女二人旅。
べらべら喋りながら歩いていて、ふと気づくと足下の赤ラインがいつの間にかなくなっている。
「あっ。赤ラインないじゃんっっ」
「あっ。ほんとだっ。どこに消えたっ」
消えたんじゃなくて、お前達がべらべら喋りながら歩くから見失うんだよ。
という感じで、あれこれ迷ったり寄り道をしながらも、予定のスポットを全て回るべくガイドブックのコピーを片手にさくさくと歩きました。
キヨPは、めぼしい建物が目に入ると「多分あれがこれだわ」と言いながら、ガイドブックコピーをがさがさとめくり、説明文を最初から最後まで全部大きな声で読み上げてくれます。
キヨPによると、独立宣言がなされた建物(名前覚えとらんわ)と、そのきっかけとなったアメリカ人兵士だったか誰かが何人か知らんけどたくさん虐殺された場所(さっぱりわけがわからんな)は絶対はずせないとのこと。
独立宣言がなされた場所はすぐにわかったけど、虐殺場所がなんとなくよくわからん。その上、そのよく事情のわからない虐殺が独立戦争のきっかけになったと書いてある同じ本(のコピー)の中に、全然違う場所で起きた全然違う事件も独立戦争の引き金になったと書いてある。
どれがホントなんじゃっっ。とキヨP。落ち着けキヨP。(お前もじゃ)

Kokoarautta
↑ここが独立宣言の建物(だと思う。違ったらごめん)。

このビルの回りを赤ラインがぐるりと回っているのですが、キヨPと私がどうーーーーしても見たかった虐殺現場が見当たりません。凄惨な現場を想像して、ドキドキしながら歩き回ったのに、一体どこなんじゃ。
手に持ったガイドブック(のコピー)に載っている現場写真は、なんか妙にすっきりさっぱりしたマンホールのフタみたいな感じ。
なんだよこれは。こんなもん虐殺でもなんでもないじゃないか。と理不尽にののしりながら、建物周辺のマンホールをしらみつぶしに回り、一個見つけるたびに
「あっ。これじゃないかっ?」とコーフンするのですが、どうも写真と様子が違う。
おかしいねえ。フリーダムトレイル上に絶対あるはずだよねえ。
と首をかしげながら歩き回り、はっと目に入ったのは交差点の真ん中、さっきの建物の真ん前にある三角の中州。
そういえば、ガイドブック(のコピー)の写真も三角風味。
まさかこれが?
近寄ってみると、まさしくそこが虐殺現場。
これじゃ写真がないと絶対わからないじゃんねえ。
看板ぐらい立てとけよ。
と二人でまたののしってみました。
そして、声高に説明文を読み上げてくれるキヨP。説明によると、正面の建物のバルコニーから誰か(イギリス人兵士だったかしら?)(←知識が曖昧なので可愛ぶってみた)が発砲し、アメリカ人兵士(だと思う)が5人撃ち殺された現場らしい。
これがきっかけで暴動が起こり、独立戦争に発展したというような感じの話だったような気がしないでもないが、詳しくて正しい説明は、そのうちキヨPが彼女のブログでやってくれると信じているので、その辺は彼女に任せよう。

Gyakusatsurinko
↑虐殺現場でこんな写真撮る観光客・リンコ。
バチが当たっても知らんぞ。

File0029

↑虐殺の様子(想像図)(←当たり前じゃ)。

無事虐殺現場を見られたことですっかり安心したリンコとキヨP。
あとはのんびり赤ライン沿いに歩き、サミュエル・アダムスの銅像や、サミュエル・アダムスのお墓を見物しました。素敵な元市庁舎ビルがステーキ屋になっていたり、古いお墓の中にカメラをつっこんで写真を撮っているヘンなヤツを目撃したりしましたが、ボストンはとっても清潔で安全で観光客に優しい街でした。
そう。アレが起こるまでは……。

Kiyop2
↑HQビデオの袋片手に絶好調のキヨP。この先、何が起こるかも知らずに。ああ、なんて幸せそうなんでしょう。

<ひっぱりまくってるわりにショボい結末だったらどうしよう。待て次号!>

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2007年7月23日 (月)

薪能つづき

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どこからが始まりなのかよくわからんわ、と思っていましたが、前説のおじさんが引っ込むと、お茶漬け海苔の後ろから唐傘を被ったおじさんが登場。このおじさんはどうやら語り部風味。そしてどうやら旅の僧らしい(と思う)。
そもそもこの日の演目『北条』は、太閤能の復活、つまり豊臣秀吉が好んだ(というか、愛していたらしい)お能の演目で、自らが倒した北条氏政を自らが演じた……というような話みたいだったような気がしないでもないような(はっきりせんかい)。必死で英語の字幕を見ましたが、舞台上の美しい所作を見逃したくなかったので、目が右にいったり左にいったりして、相当忙しかったです。

Noh3jpg
↑旅の僧の次に登場した、北条さんです。能面から見える風景はものすごーく限られているそうで、舞台から落ちやしないかとヒヤヒヤします。

つまりこのお能全体に流れるテーマは、『禅』の精神なわけです。
自らが倒し切腹においこんだ北条氏政を自ら演じる豊臣秀吉でしたが、彼の自己顕示欲もあったかもしれませんが、『今日の勝者は明日の敗者』というか、この世に永遠のものなどないのだという哲学というか、諸行無常というか、強者どもが夢の後というか、そんな世界なんです(わけがわからんわ)。
それにしても、お能ってすごいです。
こんなにわけがわからん私みたいな人間ですら、マンハッタンの喧噪の中に響き渡る鼓の澄んだ音と静かな動きで表現される深い哀切感が胸に迫りました。
目の前には本物の能。
目を上げるとマンハッタンの樹々と摩天楼。
耳に聞こえるのは鼓とお囃子(じゃないよな。でもなんて言うのかわからん。バックシンガー?)の声。わびさびとかそういう言葉では表現しがたい、まさしく禅の世界です。

Noh2
↑頭上の樹と、松井選手が住んでいるという噂の高層マンション。

Noh4
↑鼓の音色も素晴らしかったです。空気の中をつきぬける感じです。
でも北条さん、ちょっとコワかったです。迫力ありました。

夜が更けて行くにつれ空や空気が紫色に変わり、不思議な感覚は増すばかり。舞台上はまさしく幽玄の世界です。
最後には、切腹しなくちゃならなくなった北条氏政が悲しみを表現したのか悔しさをアピールしたのか、結構激しい動きを見せ、迫力満点。
暴れ終わった北条さんが、つい、と立ち上がりくるりと背を向け舞台を去って行くとき、全ての音曲が終わり静寂が戻りました。
マンハッタンの喧噪も車の音もなにもかも、遠くに聞こえているようでしたが、舞台上の静けさが損なわれることはなく、深い哀しみに満ちた北条さんの背中がお茶漬け海苔の中に消え去って行くのを、観客一同静かに見送りました。
こういう禅の心って、日本人の心の中には必ず流れているものと思いますが、文化の違いはあれど素晴らしい芸術というのはそういう文化の違いを越えて人の心に響くのだな、と、しーんと静かに感動している風のアメリカ人観客たちの様子を見て、改めて思いました。

隠れてコソコソ写真を撮って係の人に叱られたりしましたが、マンハッタンのど真ん中でお能を鑑賞するというのは、人生でもそうそうない素晴らしくなんとも不思議な体験でした。


Noh5
↑この人が真夜中に部屋に入って来たら、死ぬ程コワいです。



余談ですが、舞台がオープンスペースに設置されていたせいもあって、通りがかった見物人もたくさんいました。
興味を持って見に来たアメリカ人客達はともかく、通りすがりのわけがわからんおっさんとかは、目をまんまるにして見入っていましたし、わけもわからず写真を撮りまくっているヤツとかもいました。

File0028
↑こんな感じの通行人。






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2007年7月22日 (日)

マンハッタンで薪能

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アイドルKIYOねえとのボストン旅行は、今日はちょっとお休みです。
今日はマンハッタンで鑑賞した薪能についてです。

薪能っていうと、確かジジ様とババ様が神社かお寺の広場で能鑑賞するアレか?という貧困なイメージしか持っていなかったのですが、生まれて初めての薪能がマンハッタンで、ということになり、一体どういう状況になるのかしらとわくわくしていました。このわくわくは、もちろんお能に対する楽しみわくわくもありましたが、きっとなんかヘンなこと(特に戸外でのイベントなので、通りすがりのアメリカ人のおっさんとかがなんかやる)起こるにちがいない、というわくわくもありました。

戸外ステージが設置されたのは、マンハッタン47丁目の1番街と2番街の間にあるジャパンソサイエティー前広場です。
ここはチョビのお散歩コースの一つでもある、緑豊かなパブリックパーク。きれいな石畳風通路の両側にベンチがずらりとならび、左右には1ブロック分続く銀杏じゃないけど何かの並木。ちょっとだけ冬ソナ風味です。
パークの東端に設置された白木作りのステージ奥には、お茶漬け乗り風のれん(?じゃないけどなんて呼べばいいのかわからん。緞帳?ステージカーテン?)が下がっていました。その色合いにすら歴史と伝統の重みが感じられます。
薪能なので、本当に薪がたかれているのかな、と思っていましたが、さすがにそれは許可が降りなかったのか、大きなモニターに映し出された薪がメラメラメラ。
観客のアメリカ人には、なんのこっちゃ状態かしら。と不安になったけど(おまえに言われたくない)、お能をマンハッタンで見ようという人達は、結構日本通なのか? 何の違和感もなく大人しくすわっていました。

さて、着席するとほどなく開演です。
しずしずと裃を着た男性陣が登場。バックコーラス隊です。
その後、前説のおじさんも登場です。
膝を微妙に曲げた中腰と直立の間ぐらいの姿勢が独特です。

Noh1
↑よく声の通るおじさん。裃の背中の模様がツルで可愛かったです。

前説が始まると、さっきまで炎メラメラだったモニターには、英語のサブタイトルが映し出されはじめました。なるほどー。これならアメリカ人にも理解可能です。
ていうか、私は日本人だけど、お能を理解できるかどうか不安。私も英語サブタイトルを見させて頂こう。

<明日につづく>
(眠くてくじけたわけじゃありません。違う。絶対違う)

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2007年7月21日 (土)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<4>

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今回の旅の主目的だった『ボストンでボストンクラムチャウダーを食べる』は、キヨPにとってバス内○○で少し盛り下がり気味。
かわいそうにー。大丈夫ー。用心したほうがいいかもねー。うんうん。
とかなんとか言いながら、自分だけ大盛りクラムチャウダーを楽しみ、挙げ句の果てに、ツボ(?)に盛ってあったオイスタークラッカー(五角形の塩クラッカーね)を、バリバリボリボリとむさぼり食ったリンコ。
隣のテーブルの家族連れが食べていたロブスターロールも、おいしそうだね、と二人で一個注文しました。

Lobsterroll
↑ロブスターサラダがぎゅうぎゅうにコッペパンに詰まったロブスターロール。
美味しかったですー。特にコッペパンが(なんじゃい)。

めんどくさいけどちょっとだけ調べてみたところ、Union Oyster House は1880年代にオープンしたらしいです。ということは……。うーんと。まあとにかくすごく古いんですね。
なるほど、レストラン内のたたずまいは確かにアンティークで素敵です。

Oysterhousewindow_1
↑窓辺の素敵なテーブルでした。手前にあるのが袋入りオイスタークラッカー。

Oysterhousestairs_1
↑古めかしくて素敵です。特に奥の階段。小さくて古い階段マニアのリンコにはたまりませんでした。

肝心のクラムチャウダーですが、ちょっと冷め気味だったのが残念。熱々で舌をやけどしそうなぐらいが好みのリンコ(熱い熱い熱い熱い熱い熱いとうるさくするけど)には、あと4分暖めてほしかったという感じでした。クラムはもちろん、ポテトやオニオンやそのほかのなんかよくわからんけど美味しい具がたくさん入っていたしお味がとっても美味しかっただけに、温度が残念。暖め直してくださいってお願いしようかとも思ったのですが、なんか電子レンジでチンだったらやだな、と思ってやめておきました。
懐かしい味のコッペパンに、溢れる程ロブスターサラダが詰まっていたロブスターロールは、フレッシュで具沢山で大満足。女性二人だと、ロブスターロール一個にクラムチャウダー2人前で充分かな、というぐらいたっぷりのランチ。チップ込みで$39ほどでした。

Rinkooysterhouse1
↑なんかいじらしい感じがしました。フナ(?か?)の名刺置き。家に一個欲しいです。

そうそう。オイスターハウスは予約をおすすめします。リンコ達はなんとなくラッキーで、1時半ごろ到着して30分程待った後テーブルに案内されましたが、1時間ぐらい待たされるかな、と思った程の混みようでした。
お土産屋さんまで隣接していて、ロブスターグッズがたくさんありました。
ロブスター人形が可愛くて、思わず買ってしまいそうになりましたが、これから引っ越しなのに荷物を増やしてはいかん、と自粛しました。でもフナの置物が売り物だったら、買ってしまっていたかもしれません(どうやって持って帰るつもりじゃ)。

さ。おひゃるごはんがすんだら、いよいよ観光よっ。
キヨPがもってきてくれた地図や観光案内本のコピーを手に、どうすれば効率よく全ての観光スポットを回れるか、作戦会議開始です(バスの中でやれよ)(←バスの中でやったらリンコも気持ち悪くなったかも)(←やめといてよかった)。

<今の所平和なボストン。これから何が起こるのか?待て、次号!>
(↑明日は違う話題にするつもりだけど)






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2007年7月20日 (金)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<3>

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さて、話はクラムチャウダーより少し前に戻ります。
サルーンカーが到着したのは、ボストンのダウンタウンらしき辺り。新築ぽくてピカピカの近代的ビルが並んでいて、どこの通りも綺麗に舗装されているし(NYではあり得ない)ゴミも落ちていない!(NYでは絶対あり得ない)。なんか綺麗すぎてちょっと落ち着かない感じすら……。
あれこれと相談した挙げ句、タクシーより地下鉄のほうが早くて安くて便利という結論に達し(それにNY以外のアメリカの地下鉄に乗ってみたかった)、キヨPと二人地下鉄の駅目指してテクテクと歩きました。
徒歩約2分で地下鉄駅発見。あったあったと喜んで地下に降りたはよかったのですが、NYのメトロカードは当然使えないし、券売機らしきものの使い方がさっぱりチンプンカンプン。
そばに居た大きなおじさんに「○○○に行きたいんですが(伏せ字にしたのは、別に秘密だからではありません。もうすでにどこに行ったか忘れたからです)、どこの駅で降りればいいのか。そしてチケットはどうやって買えば良いのか、何もかもわかりません助けて下さいお願いプリーズ」とお願いし、さくさくっと簡単な使い方を教えて頂きました。
が。
券売機4台のうち2台が故障中。
こういうところはNYと同じね……。

Kiyop3_1
↑「なんじゃこれはー。壊れとるやないかっ」と暴れるリンコを尻目に、ささっとチケット入手のキヨP。やはりアイドルです。爽やかです。

Rinko1
↑こういうアホなマネをしているから、機械が壊れるんじゃ。

Kiyop4
↑ドアの開き方がなんかミョーにツボにはまった改札機前のキヨP。
愛らしい笑顔のかたわら、左手には相変わらずHQビデオのビニール袋が。

なんとかラインとかなんとかゾーンとか、ややこしいことを言われてもわからんけど多分こっちだろう、と適当にあたりをつけて階段をおりてみたら、壁に簡単な地図がはってあり、正しいプラットホームにいることが確認できました。
ほどなくホームに侵入してきた電車は、なんとなくバス風味。
「なんかヨーロッパな雰囲気だねえ」とキヨPに話しかけると
「ああ。ほんとほんと」とキヨP。
ヨーロッパはどこに行ったことある?と訊くと「行ったことないけど」と言うキヨP。
なんじゃそりゃな会話は電車の中でも続きましたが、キヨPが切符を無くしたり(後で見つかった)、乗り過ごしそうになって大騒ぎしました。

071407_1305
↑切符を無くしてトホホなキヨP。アイドル時代は、いつも切符はマネージャーさんに預けていたそうです。あー。私もマネージャーさんに人生全部預けたい(アホか)。

約5分ほどの乗車で目的地に到着。いやー早いね便利だね。それにたった$2だしねっ、と私もキヨPも上機嫌。
駅を降りてすぐ、まずはおひゃるご飯を食べねば。と頷き合い、アメリカ最古のレストラン(最古のレストランを名乗るレストランは100軒ぐらいあるけど)『Union Oyster House(ユニオンオイスターハウス)』を目指しました。
駅を出て右手方向に進むと、ほどなく何やらにぎやかな広場に出ました。
ストリートパーフォーマンスなんかも繰り広げられているし、お土産物屋台もあちこちに出ています。
その中で目についたのは、Boston Fire Department の屋台。

Bostonfd1_1
↑珍しいことに、現役の消防士さんが制服姿で、色んなファイアハウスのオリジナルティーシャツを販売していました。

ファイアハウスのTシャツは、NYでもボストンでも、オリジナルロゴ入りなのでお土産に最適ですが、普通はそれぞれのファイアハウスに行かなければ手に入らないので、これはチャンス!
私もキヨPも、数枚をお土産にゲットしました。

Bostonfd2
↑一応オフィシャルロゴ対決も。

販売していた消防士さんに「NYとボストンは、野球以外ではとっても近しい間柄だからねー」と言われ、そりゃそうだ、と相づち。そういわれてあたりを見回すと、さすがボストン。宿敵レッドソックスのTシャツや帽子だらけ。くそー(←にわかヤンキーファン)。

お土産を早々に入手し、今度こそおひゃるごはんです。
ああでもないこうでもないと相談しながら、なんとなく見当をつけて歩いていると、すぐ目の前に目指すレストランを発見!

Unionoyster
↑観光地のど真ん中です。古めかしいたたずまいがとっても素敵です。

道に迷うことなく、無事レストランに到着した私達。
旅の幸先は良いようです。

<旅の幸先が良いだと?ふふふふふ。甘い。お前達は甘い。(←誰の声?)待て次号!>



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2007年7月19日 (木)

ミーハーの一夜

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さて、激動の昨日から一夜明けました。
うーん。
リンコの一年分のミーハー心を満足させてくれた激動の一日。
まずは写真の答えです。

一枚目

Takachan2_2
↑中村七之助さんです。素晴らしく清潔で礼儀正しい、長身細身の青年でした。
履いてたジーンズがチョーかっこよかったです。

二枚目

Withmatsui
↑皆さん大正解〜!松井選手でしたっ。大きい。ひたすら大きいですっ。

そして三枚目。大トリは

Hirotarosan
↑中村扇雀さんです。女形をされるのですが、むっちゃくちゃ可愛らしかったです!

実は今回の歌舞伎には、アサミちゃんと一緒に行ったんです。
アサミちゃんは、女子大生の頃演劇の舞台裏で裏方のバイトをやったことがあるらしく、そのつてで中村扇雀さんとお友達なんです。
今回リンカーンセンターで演じられている『平成中村座』で、扇雀さんがNYに来られることになり、○十年ぶりに再会ということになったのでした。
私の方は、そういう事情も知らずプレスチケットを二枚ゲットすることに成功し、アホ丸出しで『アサミちゃーん。歌舞伎見るー?』とお誘い電話をしたところ、「あ。行く行くー。お友達が出るからバックステージに一緒に行こうよー」と言われ、一体だれが出るのかね?と思いつつ、リンカーンセンターで待ち合わせというきことにしました。

当日の演目、『法界坊』。
素晴らしかったです〜〜。アメリカ人向けに少し味付けされているところも親しみやすくてよかったですし、前半2時間後半45分という長丁場でしたが、前半のお芝居風味のストーリー展開と、これぞ歌舞伎!!という華やかで大がかりで大見栄きりまくりの後半部分の構成が素晴らしかったです。

舞台が終わり、さささとバックステージに行くと、それぞれのお部屋にはのれんがかかっていました。
中村扇雀さん江と染め抜かれたのれんの部屋の入り口には、『中村扇雀さん』と『中村橋之助さん』の名札がかかっていました。
あさみちゃんがのれんの隙間からひょいと顔を入れると
「あっ。アサミちゃん!今日きてくれたのっ?ありがとうね!」という扇雀さんの声が。
ていうか。
扇雀さんが『友達』なのか!?
アサミちゃん。すごいかも。
「うんー。友達がチケット取ってくれてこられたよー」と返事するアサミちゃん。
タ、タメ口!!扇雀さんとタメ口!!

結局「そこの彼女(←私のことな)も一緒に、食事行こうよ」と扇雀さんがお誘いくださり、舞台がはねた直後の扇雀さんと、ミッドタウンのお寿司やさん『いちむら』さんへと向かいました。
『後から七之助も来るからさ』という扇雀さん。
ひー。七之助さんですかー。さっきまで野分姫という可憐なお姫様を演じられていた七之助さんですねー。
いちむらさんの寿司カウンターにずらりと並び、扇雀さんと七之助さん、アサミちゃん、コーディネーターのKさんと4人で、なんと午前2時までねばりました。
で。さっきまで世にも愛らしく美しいお姫様姿だった扇雀さんも七之助さんも、メイクを落とし洋服に着替えると、普通の日本男子です。ポロシャツとかスエットとか着てるし。なんか不思議です。
ですね。
頃は12時過ぎでしょうか。
『いちむら』のドアがばたんと開いたのでふりむくと、

そ、そ、そこには松井選手の姿が。

いやー。扇雀さんや七之助さんは、伝統芸能のオーラがむんむんでしたが、松井さんのオーラも凄かったです。
閉店後特別におじゃまさせていただいていた私達も、思わずシーンと静まり返ってしまいました。
ていうか。
扇雀さん。日本の演劇界歌舞伎界を背負って立つ人の一人だというのに
「あー。松井さんだ。僕この間なんか悪いことしちゃったんだよねー。もごもごもご」と何やらつぶやきながら、声をかけようかどうしようか迷っている雰囲気。
ま、迷わず声をかけなはれっ。
と思っていたら、扇雀さん。
「あの。わたくし中村扇雀ともうします」と松井さんにむかって名乗られました。
椅子に腰掛けかけていた松井さんが、ふと腰をかがめた状態から直立に戻り、「あっ。どうも」とお辞儀。爽やかです。すばらしく爽やかです。
その後、扇雀さんが何やら松井選手にお詫びめいたことをおっしゃっり(←つまりよく聞いていなかった)、松井選手は『ああそんなもう。とんでもないです。いえいえ』とさらにさわやかに対応していたので、思わず私も
「すいませんっ。私も松井さんに謝りたいことが!」と手を上げてみました。
「あ。気にしないで下さい」と松井選手。
ていうか。
何をお詫びしたいか、聞いてから言って下さい。それじゃ『全然関心ありません』と言ってるようなもんでは。
と思ったけどそのまま勢いで
「私の本の前書きとあとがきで松井さんの名前をばんばん出しまくった挙げ句に、呼び捨てにしました!すみません!」とお詫びしておきました。
「あーもうそんないえいえ。気にしないでくださいぜんぜん」
松井くん。キミ、聞いてないね全然。
という感じ丸出しでしたが、まいいや。一度謝っときたいと思ってたし。

ということで、その後も扇雀さんと七之助さん、Kさんアサミちゃんと、皆で楽しくお食事をいただき、挙げ句の果てに近所のクラブに一杯のみにまで連れて行っていただきました(リンコはウーロン茶)。
『いちむら』さんを立ち去りぎわ、松井さんにお願いしてみました。
「私のブログに写真をアップしたいんですが、一緒に撮っていただいてその写真をアップしてもいいでしょうか?」
「あっはいはい。もちろんいいですよっ」
口の中にお寿司が入っていたにも関わらず、快く立ち上がり一緒に写真に収まってくれました。松井さん、やっぱりいい人ですー。
「もう酔っぱらっちゃってますけどね」というセリフもさわやかでした。
生で見た松井選手は、やっぱりすごく大きくてエネルギーに満ちあふれたオーラをわんわん出している感じでした。
そして、とてもさわやかなハンサムさんでした。ホントに。髪の毛さらさらで素敵です。そしてお声も良く通り素敵なお声でした。

で、その後の梨園の方々との飲み会は、酔っぱらったアサミちゃんと扇雀さんが、百万回ぐらい(いや。マジで百万回ぐらい)同じことを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し語り合っているのを左耳で聞きながら、右に座っていたKさんと七之助さんと、ここではちょっと言えないような話(どんな話じゃ)で盛り上がり、本当に楽しい一夜となりました。
七之助さんは、さわやかで優しげででもハキハキとした素晴らしい好青年でした。何より話が上手で楽しいし、素直で優しい心根がお顔にも立ち居振る舞いにも出ていて、好感度200%です。
扇雀さんは、とても気さくでちゃきちゃきっとしていてユーモアたっぷりで、そりゃもう素敵な男性です。扇雀さんの周囲には笑いが絶えないです。本当にかわいらしくて男らしい、不思議な存在感の方でした。

そんな扇雀さんに、「いちむら寿司」と印刷されたいちむらさんの名刺に手書きで『竹内玲子』と書いた名刺(お前の名刺じゃないじゃないか)を手渡して「なんだよこれはー!?」と言われたもの、Kさん(NY在住17年)に同じ名刺を渡して「あれ。あなたが竹内リンコさん?シベリアンハスキーの?(別にシベリアンハスキーの竹内リンコではないが)」と訊かれ、いい気になってお隣の七之助さんの肩を裏拳でこづいて「ほれほれ。私だって少しは名前知ってくれてる人いるでしょ?ね?ね?」と無礼なふるまいに及んだのも、全てこの私です。
「名刺ぐらい作れよっ」とアサミちゃんに叱られたので、明日作ることにしました。ごめんなさいみなさん。私が悪うございました。

ちなみに、夢見心地で帰宅後電話で実家の母に報告したところ、松井選手に出会ったくだりで母が訊いた最初の質問は
「松井、顔、大きかった?」
でした。
私の無礼は母譲りなんでしょうか。

追伸:そして、主演の勘三郎さんとも顔なじみのアサミちゃん(すごい〜)のおかげで、勘三郎さんとも少しお話できました。うう。感激。

072007_0125
↑勘三郎さんからおみやげにいただいた手ぬぐいです。宝物にしますー。

注:お写真は全てご本人からブログ掲載の許可をいただいています。くれぐれも転用はなさらないようお願いいたしますね。

 

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2007年7月18日 (水)

閑話休題

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キヨPとの旅行記はまだまだ続くのですが、本日はあまりにも激動の一日だったので、ちょっとさわりだけ書きますね。いや。もう普通の人間は寝てから5時間ぐらいたっててもおかしくないぐらいの時刻ですので、今日のところはさくーっとさわりだけ……。

で、さわりだけもさわりだけ。
写真です。
さて、私が一緒に写っている人々は誰でしょう?

Takachan2small
↑白いスウェットが爽やか風味。誰?

Rinkoichi
↑あああー。これは意外にわかりやすいか?背の高い男性です。
ていうか。私はこの時、10センチぐらいのヒールをはいていました。
そんなデカ女よりさらにかなり大きなこの人は一体?

Rinkosen
↑ううーん。肩と耳のかけらしか見えませんね。誰でしょう?

答えと詳細は明日です。
あー眠い。おやすみなさーい。


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2007年7月17日 (火)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<2>

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朝食です。
まずはフルーツをさくさくっといただきました。
そう、そしてそのフルーツカップに、悲劇の元がひそんでいたのです……。
合計5時間ほどした寝ていなかったリンコですが、なんか異様に元気で食欲も爆発。オレンジ&クランベリージュースを特注し、フルーツの次はマフィンに突入です。このマフィンがまた異様に柔らかくて甘くて美味。ただ巨大すぎるのが難点で、『コレ、全部食べちゃったらお昼ご飯のクラムチャウダー食べられなくなるね』とキヨPと頷き合い、リンコは半分かじっただけ、キヨPはフルーツを食べただけでマフィンには手をつけませんでした。
(余談ですが、この半分残したマフィンをボストン中持ち回った挙げ句にNYの自宅まで持ち帰り、紙袋に入れたままキッチンカウンターの上に火曜日まで放置し、火曜日のお昼過ぎに食べるモノが無いことに気づき、紙袋の底で半分ぐしゃとつぶれたマフィンをガツガツと食べたのは、私です。しかもすごく柔らかくて美味しかったんです。コワいです。一体どういう添加物が入っているんでしょう)

さて、朝食も一段落し、お茶を飲みながらべらべらべらべらとおしゃべりタイムの始まりです。
実は最近親密度がぐぐっと増した私達。
お互いの人生については、知っているようであまり知らないのが本当のところです。日本にいた頃の話や、NYに移住してきたきっかけやこれまでの生活について、あれこれと語り合い、時間はあっという間に過ぎていきました。
が。
リンコがべらべらと多分全然役に立たないくだらない話をし続け、キヨPがウンウンと相づちをうってくれていた時です。
「……とまあそういうわけで、アル・ゴアって太ったよね(どんな話題じゃ)」とリンコのくだらない話を聞いていたキヨP。
ふいとテーブルに肘をつき、
「なんかね」と言いました。
うん?アル・ゴアファンなのかな?デブ呼ばわりして悪かったかな?
「気持ち悪い」
う。え?気持ち悪いっ?え?大丈夫っ?
「うーん……」テレビの画面をみながら考える風のキヨP。
どうする?大丈夫?
「うん!トイレ行ってくる」
なんかみょうな勢いの良さでトイレにむかったキヨP。大丈夫なのか?
確か気分がすっきりするミントがリュックサックの中に入っていたはず。と思いつき、キヨPがトイレに駆け込んだすきにリュックをがさごそとさぐっていると、バタンとドアが開く音が。
振り向くと満面に笑みをたたえたキヨPが、トイレから出て来ました。
「すっきりしたー」
………は、早いねしかし。ま、すっきりしたなら良かったけど、無理しちゃいかんよ。
「もう大丈夫!なんかね。さっきトイレに入った瞬間、気持ち悪っ!って思ったの。で、しばらくしたら良くなったんだけど、またさっき突然気持ち悪くなっちゃって。でももうすっきりしたははははは」
あ……あそう?すっきりしたんならいいけど。大丈夫かねしかし。

071407_1114
↑チョーうれしそうに○○袋を振り回すキヨP。
異様に陽気です。しかも笑顔はアイドルだし。どうなってるんだ。

私に気を遣ってか、それともただ単に騒ぎたかっただけなのか、さっき気持ち悪くなってトイレに駆け込んだくせに、大人しく寝ようとしないキヨPに
「寝ろっ」と命令すると、1分でぐっすり眠りに落ちました。
実は連日の送別会イベントで、超寝不足の超疲労状態。疲れが出たのかもしれません。
そして、キヨPはフルーツの酸味に弱かったことも判明。
「いや。前にも一回グレープフルーツを食べたら気持ち悪くなっちゃってトイレに駆け込んだんだけど、またその夜グレープフルーツを食べたらまた気持ち悪くなっちゃって、またトイレに駆け込んだことがあるんで、私フルーツの酸味に弱いのかも」
ていうか。
酸味にも弱いのかもしれんけど、そもそもどうして一回食べて気持ち悪くなったもんを、その日の夜にまた食べる?それじゃまるでカキ食べ放題のアサミちゃんだよ。
「いや。どうーしても食べたくて」
あそう……。
ということで、バスの中でキヨPを襲った悲劇は、あっけない幕切れとなりました。
いや。これも実は後々尾を引くことになるんですが。
それはコレ。

071407_1418
↑ボストンクラムチャウダー。またの名を、ニューイングランドクラムチャウダー。左のカップがキヨPの。右のボウルがリンコの。

そもそも今回ボストンに行くことになった大きな理由の一つが、キヨPが『ボストンに行ったことが無い。そしてボストンのクラムチャウダーを一度でいいから食べてみたい』ということだったんです。
が。
速攻で回復したキヨPではありますが、お昼ご飯時になっても完璧とは言えない体調(胃調?)だったらしく、オーダーの時、妙に小声で
「クラムチャウダー、カップ」と注文。
「ええー。クラムチャウダーカップでいいのっ?ボウルじゃなくて?」
「途中で具合悪くなったら困るし。用心します」
そりゃそうだね。せっかくのボストンなんだしね。
それにしても、一度食べて気持ち悪くなったフルーツを夜また食べる無計画さとは対極をなす慎重さ。一体どちらが本当のキヨP?

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↑窓辺のキヨP。哀愁が漂っています。手前のビデオ屋ビニール袋が、さらに哀愁を高めています。

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2007年7月16日 (月)

アイドルKIYOねえとボストン旅行<1>

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皆様お待ちかね(?か?)の、元アイドルKIYOねえとのボストン旅行記その1です。
当日朝8時半発のサルーンカーに、万全の態勢(=シャワーに入ってシャンプーしてメイクをしておやつを持って)で乗り込むには、6時半起きは必至。早起きがチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョーチョー(じゃかましいっ)苦手なリンコは、そのことを考えただけで前夜からドキドキでした。
起きられるかしらおくれたらどうしよう寝坊したらどうしよう寝過ごしたらどうしよう寝ぼけてスカートはくのわすれて出かけたらどうしよう。
と、頭の中はネガティブな考え(?か?)で一杯に。
目覚ましをしっかりとかけ、就寝したのは1時過ぎ。リンコとしては破格の早寝です。ちなみにこの目覚ましは『ネイチャーサウンド付き』というものでして、お店で見かけて、素敵な水音や鈴虫の鳴く声なんかが聞こえてくるものと思い込んで購入してみたら、真冬の日本海で荒波が岸壁にぶつかる音や真夜中の港で獰猛なカモメがギャアギャアギャアと泣き叫ぶ恐ろしい音声ばかりが入っていたという代物です。
カモメの泣き叫ぶ声は、覚醒効果抜群ですが、一日中不吉な気分になるのが嫌で普段通りのアラ−ム音に設定し、就寝。朝6時半にはばっちり目覚めました。
以外にさわやかな気分でタクシーに乗り込み、待ち合わせのホテルに到着したのは8時ジャスト。待ち合わせの時間まで10分あるので、奥のレストランで紅茶を購入。紅茶のカップを手にフロントデスクに近寄っていくと、そこにはすでにKIYOねえことキヨPの姿がありました。
背後から忍び寄ると、なんかキヨPの手に怪しいスーパーのビニール袋みたいなもんがブラ下がっているのが目につきました。
一体何が入っているのか気になって仕方なかったのですが、カメラが入ってたりしたらコワいので、訊くのはやめておきました。

さて、5分ほど待ったところでバスのドアが開き、全員がのそのそと乗り込みました。全席指定席なので、ここは慌てず騒がず。
私達が指定した席は、テーブル付きの上席。目の前に壁がありビデオモニターも設置。「これで向かい合わせになっている2席に油ギッシュなおっさんとかが座らない限り、最高に快適な旅が期待できそうだね」と、キヨPと身勝手な話し合いをしながら大喜びで快適なシートに身を沈めました。

Bus2
↑このシートは本当に快適でした。柔らかくてリクライニングも良く、ゆったりとくつろげます。

「いやあー。この席、大正解だったねー。足が伸ばせるよー」
と言いながら、キヨPが前の油ギッシュおっさん席(結局空席だったけど)に足をのせ、上機嫌で自分の足を撮影しはじめました。私も同じことをしようかなと思ったけど、巻き爪の手術跡がまだ醜い自分のつま先を写真に撮っても仕方ないしなあ、と思ってやめておきました。
「さてと」と上機嫌なキヨPが、例の謎のスーパービニール袋から取り出してテーブルに並べたのは、カールとかっぱえびせんとミネラルウォーターのボトル。

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↑まるで小学生の遠足状態。手前のバナナはリンコのリュックにいつの間にか入っていたモノ。誰が入れたんだ?(知らんわっ)

しかもミネラルウォーターのボトルをつかみだしながら
「茶詰めるなよ」と自分につっこみをいれるキヨP。
なんじゃ?と思って改めて見たら、ミネラルウォーターのボトルに、お茶が詰まっていました。麦茶詰めてきたのかっ、と問いつめると、
「プーアール茶です」ときっぱりキヨP。
健康的な飲み物です。そしてミネラルウォーターのボトルに茶を詰めるキヨPは計画性もばっちりで、色んなボストンの資料をたくさんプリントアウトしてきてくれました。
かたやリンコはなーんの準備もせず、ボケーっとしていただけ。すまんキヨP。後は任せた。

Breakfast
↑サルーンバスは、こんな朝食付きです。飲み物は、ソーダ類にコーヒー紅茶、オレンジジュース、クランベリージュースなんかがあって、いつでも頼めばささっと持って来てくれます。
しかし。
この朝食後、ある悲劇が……。

<つづく>



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2007年7月15日 (日)

街の名前ー最終回ー

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本日はKIYOねえとの珍道中記にしようかと思ったのですが、写真の点数が多くてまだまとめきれてないんです〜。アホほど写真撮りまくったので、ちゃんと整理してからアップしますね。
さて、石岡君の雪中行軍もいよいよ最終回。
御手洗さんに冷たい言葉を浴びせられるのは、後日談の中でのことになります。(後日談、まだ書いてないけど)(←アホかっ)
真夏に真冬の話を読んで下さったみなさん、ありがとうございました。私としては、未熟ながらも愛着のある物語です。楽しんでいただけたなら、うれしいです。

『街の名前』

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真理子は淡々とした声で言った。
「いつも、早くどこかに帰りたい、と思っているのに。」
見上げる真理子の顔に、雪が降りかかっていく。
瞬きもせずに真理子はしばらくそのままの姿勢で立っていた。
真理子は涙を流さなかった。多分これからも流さないだろう。それが失った家族を悼むことができなかった自分自身への罰だとでも思っているかのように、彼女は自分の7年ぽっちの人生を笑って人に語り続ける。
私が一番苦しかった時に側に居てくれた友人は、今暖かい部屋の中で私を待ってくれている。
人生に於いて、失ってしまったものと得たものを数えあげ、比べることなどできるものではないが、少なくとも今の私には待ってくれる友と暖かい部屋がある。あの、記憶を失った時の足元が無くなってしまったような不安と恐怖を、彼女は一人耐えてきたのだろうか。こんな冷たい雪の街で、彼女は本当に一人ぼっちなのだろうか。
哀れみと一種の愛おしさが入り交じったような奇妙な感情に胸が痛んだ。
大通り沿いで車を止め、私が返した手袋を填めながら、わあ、暖かいですね、と真理子は明るい声でうれしそうに言った。
「本当にありがとうございました。気をつけて帰ってください。」
私が言うと、私の両手をしっかりと握って
「石岡和己さん。転ばないように、気をつけて帰ってくださいね。」と、おどけた調子で真理子は言った。
「あの、がんばって元気で暮らしてください。日本に、もし帰国されることがあったら、いつでも連絡してください。いつか必ず」記憶は戻るだろうから、と言おうとしてやめた。何を言っても彼女の本当の心には届かない気がした。
真理子はまたゆらゆらと揺れる瞳で私をじっと見つめるとこう言った。
「私が、運転していたんです。」
私もまた黙って彼女を見つめた。
「起きあがれるようになって最初に訪ねてきたのが警察の人で、言われたんです。
大変お気の毒ですが、あなたの運転ミスが原因でご家族は全員亡くなりましたよ、って。」
そしてタクシーのドアを開けながら私を振り向いて言った。
「英語ってほんとストレートで。じゃ、さようなら。」
後部座席に乗り込み、手動式の窓を開いて手を振る真理子に、日本に来たら必ず連絡してください、ともう一度念を押すと、はーい、とにこにこしながら返事が返ってきた。車が走り去って行くのを見送りながら、また冷たくなった手に息を吹きかけポケットに突っ込んだ。右のポケットはまだ彼女の手の温もりが残ってほんのりと温かだった。
君の手はこんなに温かだよ、と教えてやれば良かったと思ったが、車は見る見る内に遠ざかって行く。車の後部ガラス越しにこちらを見ている真理子の白い顔が、いつまでもいつまでも見えていた。

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今来た道をアパートに向かって一人で歩きながら、昼間見た顔と全く違う顔を見せているこの街をぐるりと見渡してみた。
あんなに明るく色と音に満ちあふれた通りは、今は音もなく白い雪の中しんと静まり返っている。真っ暗な空を仰ぐと花びらのような雪が間断なく降り注ぎ、自分が地面に立っていることすらあやふやになっていく。
誰も彼もを拒絶するかのように人の目を幻惑する、今のこの寒く冷たい街の風景は、私にいつまでも真理子の事を思い出させることだろう。
見渡すと、冷たい石造りの壁や階段や、通りのゴミ箱まで、皆全て白に染め上げられ、街灯の灯りを受けてきらきらと輝いている。
それでも私の目に映るこの街はこんなにも美しい。
歓びと悲しみ、温さと冷酷さ、希望と絶望、アンバランスな魔力に満ちたこの街を、真理子はなんと名付けるのだろう。
どうか、あの色も音もない世界に住む女性にも、いつかこの美しい街と自分の手の温もりに気付く時が訪れるように、私は心の底から願った。
懐の合い鍵をごそごそと探り、表のドアを開きながらもう一度部屋の窓を見上げてみた。
窓際に背の高い人影が映っている。御手洗が心配して、通りに私の姿を探しているのかもしれない。
暖かい暖炉の前の椅子に腰掛けて、御手洗に今日あったことを話してやろう。
そう思いながら冷たいタイルの階段に足をかけた。
私の靴音がカツンとビルの中に響いた。

------<了>------

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2007年7月14日 (土)

街の名前−10−

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実は、本日は噂の元アイドルKIYOねえさんとのボストン日帰りツアーの日でした。
予想を裏切らない珍道中になってしまい、締めくくりはやっぱりリンコのタクシードライバー相手ブチ切れで幕切れとなりました。
この旅の模様は、明日御知らせします。
いや……もう……なんか、疲れちゃって……。

さて、こちらの物語もいよいよ終盤です。
このままニューヨーク人情物語で終わってしまうのでしょうか。
モテモテ石岡君の運命やいかに? 身勝手な御手洗さんは、何をしているんでしょうか? そして真理子は? 猫は? 雪だるまは?(?え?)
乞うご期待!(せんわ誰も)

『街の名前』

1

もう小一時間は歩いたと思われるのに、その間見事に一台の車も通りかからず、たった一人の人間にも出会わなかった。
遠くに見えるはずのオフィス街の灯りも、雪に視界が遮られ全く見えない。観測史上最高の降雪記録になるかもしれないそうだ、と真理子が言った。もう靴もズボンの裾も深い雪にすっぽりとはまり、雪が凍り付いてしまっている。
真理子は雪用のブーツを履いており足下は割合しっかりしていたので、どうしても彼女に少し引っ張られるようにして歩く形になってしまっていた。
「もうじき着きますよ。今日は雪のせいで時間がかかってしまいましたけど、普段なら歩いても20分ぐらいの距離なんですよ。」と、真理子が言った。
やっと家に帰れる。まだ滞在して二日目のアパートだというのに、故郷に辿り着いたような心持ちになった。
私の顔にありありと安堵の表情があらわれたのだろう。
「やっと安心ですね。」と真理子は優しい笑顔を見せた。
はたと気づき、「あなたのお宅はどこですか?この近所なんですか?」と、慌てて聞いた。
自分の家まで案内させておいて、そのまま女性を一人こんな雪の夜道を帰らせるわけには行かない。
「大丈夫ですよ。お宅の近くに大きな通りがあったでしょう?あそこなら車も通っているでしょうから。」
今日の午後私がバスに飛び乗った通りのことだろう。
「ではそこまで一緒に行って車をつかまえましょう。」
一人で大丈夫だと言う真理子を今度は私が押し切って、大通りまで一緒に行くことに同意させた。
さくさくと雪を踏み、それまで歩いていた通りから角を折れ、三つほど角を通りすぎた所で見覚えのある通りが見えてきた。
怖ろしい顔の老人が店番をしているフランスパン屋や、古本屋などがある通りだ。
角のギリシャの柱屋の階段が雪に埋もれていた。
柱屋の角を曲がり、私は真理子にアパートの入り口を指し示した。
「あそこです。あそこです。ああ。よかった。」
すると真理子は「お部屋は三階ですね。」と言った。
何故そんなことを知っているのだろう。
「え。どう、どうして?」
「だって、ほら。」
真理子が頭上を指さす。
見上げると、真っ暗な窓ばかりが並ぶ黒い壁の、ちょうど真ん中辺りに三つ並んだ窓に、暖かいオレンジ色の灯りが灯っているのが見えた。
前の通りの雪も、上半分が半円形になっているフランス風の窓の形どおりにオレンジ色に染まっている。
窓の灯りがなんとなくゆらゆらと揺れているように見えるのは、おそらく暖炉の炎のせいだろう。
もう夜半を過ぎているのに、友人のライブにも行かず、御手洗は私を待っていてくれたのかもしれない。
全てはあの男の身勝手から始まったことなのに、私は少し胸が熱くなった。
ぼんやりと突っ立って窓を見上げていたら、真理子が突然つないだ方の手を離し、窓を指さしてこう言った。
「私が無くしたものは、あれ。」
「え?」
彼女の顔と窓を交互に見ながら、私は安堵のために気の抜けた声で聞き返した。

2

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2007年7月13日 (金)

街の名前−9−

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『街の名前』

Street

突風が、通りに積もった雪を巻き上げ渦を巻く。
「あ。」と彼女が小さな声をあげた。
見ると、真理子の懐で眠っていた猫が突風に驚いたのか、突然身をよじり、あっという間に彼女の腕をすり抜け、通りにひらりと飛び降りてしまった。
驚いて捕まえようと追いかけ、手を伸ばしたが、猫はするりと身を避け、数メートル先で立ち止まり首だけを巡らせてこちらを振り向いた。
「待って。」と真理子の小さい声が聞こえた。
振り向くと、真理子が泣きそうな顔で猫の方に手を伸ばしながらそろそろと近づいてゆく。
私の横を通り過ぎ、そろそろと猫に近づいていきながらまた、待って、と囁くような真理子の声が聞こえた。
雪の中、真っ白な猫の金色の瞳だけがきらきらと光っている。
だが、真理子が辿り着く前に、猫は身を翻し車の通らない大通りを素早く走り抜け、すぐに姿が見えなくなってしまった。
道ばたに佇み、猫が消え去った方角を向いて少しの間彼女は俯いていた。
女性に泣かれるのが大変苦手な私は、彼女が泣いているのだと思いひどく狼狽えた。
けれど、すぐに真理子は顔を上げ、くるりと私を振り向いて「行っちゃった。」と笑顔を見せた。
「行っちゃいましたね。猫は案外薄情だって言いますからね。」
泣かれなくてよかった、とほっとした拍子にまた間抜けな事を言ってしまい、自分の口を縫いつけてしまいたくなった。
「そんなことありませんよ。この世で薄情な動物は人間だけですよ。」
平たい調子で真理子は言った。
私達はそれからしばらく言葉もなく黙々と歩いた。
余りの寒さに、手袋をしていない手がポケットの中で冷たく悴んできたので、両手を口に当て息をかけていると、「あら。手袋、お店に忘れてきたのかしら?」と真理子が訊いた。
そうではなくて店の前で滑って転んだ拍子に落としたらしい、と説明すると今度は遠慮なくけらけらと笑いながら、「はい。」と言って自分の左手の手袋をぬいで私に差し出した。「とんでもないです。あの。そんな大切な物お借りできませんよ。
第一あなたが寒いじゃあないですか。」必死に後ずさりしながら断ったのだが、真理子はいいからいいから、と言いながら私の左手を無理矢理とって手袋に押し込み、「あら。ピッタリですね。やっぱり私には大きすぎるのね。」と、ふふと笑って自分の左手を見つめた。
しばらく歩くと、こっちの手が寒い、とつぶやきながら左手をひらひらさせるので、私は慌てて手袋を返そうとして、もぞもぞと手からはずしかけた。
すると、今度は私の顔を子供のような悪戯っぽい表情でじっと見上げたかと思うと、突然自分の左手を私の右手とつなぎ合わせ、私のコートのポケットに入れてきた。
「ほら。これで二人とも暖かいでしょう?」と、またからかう調子で真理子は言った。
びっくりして手を引きかけたが、あまりの彼女の手の冷たさに途中で動きが止まってしまった。
女性と手をつなぐなど何年ぶりだろうか。とにかくこのアンバランスな女性の唐突な行動に、私はすっかり振り回されっぱなしであった。
振りほどくわけにもいかず、仕方なくそのままポケットの中で手をつなぎ、しばらく無言で歩いていたが、退屈したのか真理子は今度は小さな声で歌を唄いだした。
始め、英語の歌かと思っていたが、よく聞くと小さな歌声は日本語だった。
雪の降る夜には暖炉の前で家族と過ごそう、という内容の小学校唱歌のようだった。
彼女はこの歌を覚えていたのだろうか。
心の中で私は思ったが、これを訊くことはできなかった。

Snowy1web

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2007年7月12日 (木)

歯の漂白

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突然ですが、今日歯の漂白に行って来ました。
3年前、思いついてやってみた初めての歯の漂白。結果は6段階白くなり(10段階あるらしいです)大満足だったので、白い歯がまぶしい受付のお姉さんにすすめられれるまま、漂白マウスウォッシュや漂白ペン、漂白は磨き粉のセットと一緒に、3年以内の漂白が半額になるサーティフィケーとを購入。確か$200ぐらい支払った記憶があります。
でですね、3年間があっという間に過ぎ、気がついたらサーティフィケーとの期限は明日に迫っていたというわけで、慌てて今日漂白に行って来たという訳です。

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↑待合室からの風景です。静かでシックな感じが良かったです。

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↑漂白をはじめる前に、まずは歯磨きです。(トイレで写真を撮るな)


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↑横たわり歯の漂白が始まりました。目の前にTVモニターを持って来てもらい、なぜか料理番組を見るハメに。

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↑何がなんだかわからないですが、モニターの脇に携帯をもっていって、漂白中の自らの姿を写してみました。

ガバーっとしたゴムゴムで口を無理矢理開かされ、唇や舌が漂白剤に触れないようにさらにゴムゴムしたものを口の中に入れら、それが1時間続くわけですから、これは結構辛いです。最初の数分間は、これで1時間我慢できるんだろうか……と真剣に悩むほどです。
でもすぐにこの異様な状態に慣れ、料理番組に一心に見入り、10分もたたないうちにガーと眠ってしまいました。
頭も顎も固定され、かなり不快な状況にも関わらず熟睡している私のところに20分に一回の頻度で看護婦さん(?みたいな人?)がやってきて、漂白剤を塗り替えてくれました。

071207_2145
↑コワいです。しかも色がよくわかりません。上の二枚が3年前のBefore After.
今回の漂白で、一応10段階の一番白い状態になったそうです。

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↑外から見た漂白スパ。爽やかです。

漂白後24時間は色のついたものを飲み食いできません。
これが実は一番辛いかもしれません。
今日の夕食はスプライトとスパゲティーボンゴレでした。食後はすぐに歯磨きです。

071207_2000
↑美味しかったんです。本当に。でもなんていうか、味わうというよりこれしか食べるものがないという強迫観念と限定感が強くて、今ひとつ味わうことができませんでした……。

さっきからちょっと歯がしみる感じがしはじめました。歯の芯がムズムズする感じです。痛み止めを飲む程じゃないけど、痛みに弱いアメリカ人だったら、すぐに痛み止めを飲むんだろうなー。
あー。歯がカユいです。


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2007年7月11日 (水)

街の名前−8−

↓奇跡の1位キープ!みなさんのおかげです〜(iДi)
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↓8位もキープ!ありがとうございます!!(iДi)
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今日はまた物語の続きです。
本文に入っている写真は、私が撮ったモノではないんです。物語を書いていた時に私の頭の中に浮かんだイメージに近いものを、ネット上で探して来てアップしています。コレだ!っていうのはなかなかありませんが、比較的近いなーと思うものを選んでいます。
それにしても、読んで下さっているみなさんの、物語の続きの予想書き込みがとても楽しいです。どんどん予想してください〜。

『街の名前』

「ああ。あの、家族なんですけど、私・・」
「え?」
「一緒に住んでいないのか、って。」
さっきの私の質問だった。
「あ。ああ、ええ。」
「何も覚えていないんですよ。私。」
「・・え?」
思わず真理子の顔を見つめた。
私たちは、厚く雪に覆われ、しんと静まり返った大通りに出ていた。

普段ならおそらく大変な交通量だろう。除雪もされず、雪が積もるままに放置された幅広い大通りはどうやら中華街のメインストリートのようだったが、車の影さえも見えず人影も勿論ない。見渡す限り右も左もただ白一色の通りの両側は、色々な店が立ち並ぶ商店街だったが、どの店も暗い海の底に沈んだような色で暗闇の中にぼんやりと佇んでいる。
それでも路地裏よりは相当に明るい街灯の下で、私は黙って真理子の顔を見ていた。
「7年前に自動車事故でみんな死んでしまったんです。父も母も弟も。でも私はなんにも覚えていないんです。」
通りの左右を気にしながら真理子は話し続ける。
「事故のせいで、記憶がなくなって・・。ああ。車はここでは無理ですね。もう少し歩きましょう。」
心臓を冷たい手で掴まれたような気がした。こんな話をそんな風に、まるで世間話のように何故できるんだ?残酷な答えを引き出した自分の軽率な質問を、死ぬほど後悔した。
「あの。あの。本当にもう。申し訳ありません。立ち入った事をお訊きして、その、申し訳ありません。もう、もうその話は・・。」
「ああ、いいんです。私、悲しくないんですよ。」
何故?何故そんな顔でそんな声で話せるんだ。
「だって覚えていないんですから。両親の顔も弟の顔も。私の記憶は丁度7年分。ああ、そうか。だから私の人生も7年ということですよね。その前の私はどこにも居ない人間なんです。私の両親も弟も、みんな居ない人達なんですねえ・・。」
懐の猫の頭に顔を埋めながら真理子は言った。
さくさくと雪を踏む音と、傍らの真理子の声が次第に現実味を失ってゆく。
「ああ。あの、ごめんなさい。気にしないでくださいね。」
深い闇の色の瞳にまた雪をゆらゆらと映しながら、真理子はじっと私の目を覗き込んだ。
何も言えずにいる私をすこし見つめた後、真理子はまた話し始めた。
「記憶ってどういうものなのか、私少し考えたことあるんです。ほら、私事故の後、目が覚めたら病院のベッドの上だったでしょう?ぽか、って目が開いてそしたら誰も周りにいなくって、“あれ?”って思ったんです。“私はさっきまで何をしていたんだっけ?誰かと一緒にいたかしら?”なんて。でも体中痛いし、どこも思うように動かないし、動かすと死ぬほど痛いし。だんだん腹が立ってきちゃって、それで誰が一体私をこんな目にあわせたんだろう?なんて考え始めて・・・で、あれ?ってまた思ったんです。何も覚えていない、ってその時気が付いたんですよ。自分の名前もわからなくなっちゃってた。」
不可解なことに、真理子はくす、と笑って続けた。
「頭の中、真っ白だったんです。何を訊かれても、痛いとか痒いとかだるいとか、そういうことしか解らなくて。家族が私以外全員ダメだった、って聞かされても、なんだかよくわからなかった。だって、私本当に何にも覚えていなかったんですもの。ああ。そういえば自分でびっくりしたのは、言葉がちゃんと話せたことかな。そういうこと忘れないんですってね。知ってました?だから英語も忘れてなかったみたいで、ちょっとびっくりしました。」
知っている、とは言えなかった。
「それから起きあがれるようになるまで1ヶ月もかかったから、何か考え事しなくちゃ、って思ったんですよ。そしたら、記憶がなくなっても自分は大人のままでいられるんだな、ってことに気が付いてすごく感心したんです。だって、私はそれまでの自分の人生を全て失ってしまったのに、ほら、手がある、足もある身体もある、顔だってちゃんと女の人の顔で、大人の顔してる。言葉遣いもちゃんとしてるし、ありがとうやごめんなさいもちゃんと言える。私が無くしてしまったのは、」
突然真理子が言葉を止めた。
頼むからやめてくれ。
本当はそう言いたかった。
彼女の物語は私にはつらすぎる。
突然の沈黙を利用して話題を変えようと必死に頭を巡らせた時、彼女がはめている不釣り合いに大きな黒い手袋に気が付いた。
「その手袋は男物ですか?大きいですね。」と私の間抜けな質問に、猫を抱いた両手を少し開き気味にして自分の手を見ながら真理子は答えた。
「ああ。これね、お父さんの手袋なんですって。あ。お父さんなんて言っちゃったわ。父、ですよね。大人なのに。」
私を見上げて微笑んでいる気配だったが、もう私には彼女の顔を見ることができなかった。
「退院して、ここがあなたが家族と一緒に住んでいた家ですよ、って連れて行かれて初めてその家に入った時、最初に入った居間の暖炉の上にこう、きちんと重ねて置いてあったんです。その横に家族の写真も置いてありましたよ。ちゃんと私も一緒に写っていたんですけど、なんていうか、見も知らない人の家に勝手にあがりこんで、勝手に他人の家族の写真を見ているみたいな、後ろめたいような感じがなかなかとれなかったです。その時私はもう成人していましたから、その後ずっとその家に一人で暮らしていたんですけど、家族の持ち物や家具を見ても何にも思い出せないし、自分の家だという実感も結局沸かないままで。」
また雪の勢いが増してきた。

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2007年7月10日 (火)

まさるちゃんとデート

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今日もエグい猛暑でした。
でも、おひゃるごはんは『神戸ビーフ丼』をいただきました。美味しかったです!
夕食は、久しぶりの『タコまさるちゃん』とデート。
半年に一回程度の頻度でデートする理由は、お互いのお誕生日お祝いディナーなんですが、まさるちゃんのお誕生日は実は1月(だったかな。あれ。2月だったかな)。半年おくれのバースデーディナーです。
ところで、一生私だけのものだと思っていた(なんでじゃ)まさるちゃんにガールフレンドができて、相当くやしいリンコですが、食欲は衰えていませんでした。
3時頃神戸ビーフ丼を食べ終えたリンコ。
まさるちゃんとのデートは5時半からだったので、絶対食べられない、と思っていました。
が。
テイスティングコースメニューを完食。
今年の夏は、夏バテ知らずで過ごせるでしょうか。

071007_1805
↑まずはなんかのパテ。まさるちゃんのパテの方が相当大きかった。くやしい。

071007_1814
↑鯛を熱々オイルでじゃばじゃばーっと何かしたやつ(わけわからんわ)。
おいしかったです〜。

071007_1820
↑神戸牛冷製しゃぶしゃぶサラダ。激ウマでした。左上からまさるちゃんがお箸をつっこんでいます。

071007_1855
↑いちいち出されたモノに見とれるまさるちゃん。一体何を考えているのでしょう。

071007_1837
↑煮大根の上にそぼろ肉とフォアグラがのっかった死ぬ程美味しい何か(何じゃ?)。
いやああああ〜おいしかったです〜〜〜〜ふわああああ〜〜〜

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↑銀ダラの味噌漬け焼き……かと思ったら、ミルクバター風味のソースがかかっていて、いやいやいやいやいやいやいやいやもううううううううマジで超美味ですっ!

071007_1911
↑ラムチョップを確認中のまさるちゃん。

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↑ラムチョップを掴むまさるちゃんの手。いやいやー柔らかくて匂いもなくて美味でした〜〜(まさるちゃんの手じゃなくて、ラムチョップが)。

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↑いつも優しくて紳士なまさるちゃん。出て来た紅茶をささっと注いでくれました。

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↑リフレッシュメントのゆずシャーベットで終わりかと思ったら、
こんなに立派なデザートが!しかも超美味!チョコスフレとバニラアイスです。
マジで美味しかったです〜。

071007_1940
↑熱々のチョコスフレをいただくまさるちゃん。

ということで、本日はまさるちゃんとテイスティングコースディナーでした。
レストランの名前は『蘭』。11丁目の3番街にあるオシャレな日本食レストランです。デートにもぴったりです。
こんなに盛りだくさんのコースで、お値段は$58。お得です〜。

あまりの暑さに待ち合わせを決める電話で、「水着で行ってもいい?」と訊いたリンコに「おう。じゃ僕はビキニで行くからよ」とまさるちゃん。
でも現れたのはさわやかな黄色シャツのまさるちゃんでした。
とってもオシャレなまさるちゃんは、半年に一回のデートの時はいつも素敵な出で立ちで登場します。
それなのに、半年前のデートの時はあまりの大雨と雷に漁師のような出で立ちで行ってしまったリンコ。
今日は反省して、ミニスカで行ってみました。
が。
可愛い彼女がいるまさるちゃんは全くの無関心。
くやしいのでヤケ喰いしました。
ちょっと今、胸焼けしています。
しくしくしく。




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2007年7月 9日 (月)

街の名前−7−

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ゆうべ、ブログをアップしようとしたらココログのメンテナンスで入れませんでした(涙)
それにしても暑いです。
溶けそうです。
なのに、物語は真冬です。大雪です。
読んで涼んでください。

『街の名前』

彼女は名前を真理子といった。
とても饒舌で、明るく茶目っ気があり会話の上手な女性だったので、初対面というのにたいそう会話が弾んだ。
アメリカに渡ってきてもう10年だと言っていたが、彼女が何歳位なのか私には見当がつかなかった。
彼女はこの店でもう5年働いていると言った。
最初はウェイトレスだったのだが、オーナーが気まぐれな人で、ある日突然店にやってきて、“面倒くさいから経営は君に全て任せたい。月々決まった金額を納めてくれれば後は適当にやっていい。”と言って、簡単な契約書を交わした後は一度も店に現れない、という話だった。

真理子は私にたくさんの質問をした。
名前を訊ねられて肩書きのない名刺を渡したところ、職業をしつこく訊かれたが、なんとか曖昧な返事でごまかすことが出来た。
アメリカに来たのは何度目か。何をしに来たのか。いつまで滞在するのか。
日本のどこに住んでいるのか。結婚はしているのか。挙げ句の果てに、食べ物の好き嫌いや好みの女性のタイプまで訊ねられた。日本語を普段余り話さないのでたまに話すとすごくおしゃべりになってしまうんですよ、と最後の客を見送るために立ち上がりながら彼女は言った。
その彼女の言葉にふと思いついて、たくさんの質問に対するお返しのつもりで私は訊ねた。
「ご家族は一緒に住んではいないんですか?」
真理子は一瞬私のほうをまっすぐに見たが、立ち去ろうとしていた客が何事か声を掛けてきたのに応えて入り口の方に行ってしまった。しばらく客と立ち話をした後、少し待って欲しい、と私に声を掛けてあたふたと閉店の片づけをし始めた。
バーテンダーもウェイターも居ないのは、雪のせいなのか、それともいつも彼女一人でこうして店を切り回しているのだろうか。くるくると元気良く、時折私に愛想良く微笑みかけたりしながら手際よく片づけを終えると、厨房から猫を抱いて彼女は現れた。
「お待たせ。」にこにこと笑いながら猫を私に手渡し、「また捕まえるの大変だからしっかり抱いていてくださいね。」と言い残して店の奥に引き返し、今度は私のコートと彼女のコートを持って現れた。
まず自分のコートに腕を通し、猫を私の腕から受け取ると自分のマフラーでくるんでやっていた。私がコートを着込み、マフラーを手に振り返ると、真理子は真っ白なコートに身を包み、その懐にマフラーにくるんだ猫を入れていた。
重くないですか?と訊ねたが、暖かくて柔らかくて気持ちいい、とうれしそうな返事が返ってきた。私のマフラーを貸そうかと思ったが、これがいますから、と猫を顎で指すので、結局マフラーは私の襟元に収まった。
頭に巻かなくていいんですか?とまた嬉しそうに真理子が言うので、先刻の醜態を思い出し赤面した。
店の小さな木の扉にとても重そうな太い鎖の鍵を二重三重に巻き付け、大きな南京錠を掛けるのを見て、「この辺りは危険な地帯なんですか?」と、私が訊ねると、「そうですねえ・・。この辺りを余りよく知らない人が夜一人歩きなんかはしないほうがいいかもしれませんね。すぐそこがチャイナタウンですから。」と真理子は顔だけを店の左方向に振り向けて答えた。中華街か!そう言えば御手洗が、横浜と同じように思って中華街などにフラフラと暗くなってから行かないほうがいいよ、と言っていた。一人で出かけるつもりなど更々なかった私は甚だいい加減に聞いていたのだが、真理子と出会う前の自分の置かれた状況を思い出して今更ながらぞっとした。
彼女が示した方向に、先ほどは気づかなかった広い通りが見えた。街灯の光も一層明るいようだ。
とにかく広い通りに出ましょう、と真理子は言い、先に立って歩き出した。懐の猫は眠ってしまったようだった。
さらさらと音も無く降り続ける雪は、いつの間にか細かい粉雪になっていた。古い石造りのように見えるビルばかりが立ち並んでいるこの界隈は、どうやら中華街との境にあたるようで、古い英語の看板に混ざって漢字の看板があちこちに見られた。どの窓にも灯りはともっておらず、暗く冷たいガラス窓が黙って私たちを見下ろしている。
通りは雪明かりのせいで案外明るい。街灯のオレンジ色の灯りが、雪と前を歩く真理子の背中を同じ色に染めていた。猫を撫でていたのかもしれないが、少し俯き加減に歩く真理子の後ろ姿がとても小さく儚げに見えたので、私は歩を早めて彼女の横に並んだ。
しばらく歩いたところで真理子は突然はっとしたように私の顔を見上げて言い出した。

Chinatownsnow


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2007年7月 8日 (日)

街の名前−6−

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『街の名前』

スープと山のようなパンを半分ほど平らげ、やっと人間らしい気分になってきた。
食器を片づけながら彼女は私に聞いた。
「でもこんな下町の路地裏のレストランをよくご存じでしたね。地元の人たちにしかあまり知られていないはずなんですよ。」
「ここは下町なんですか?」
私が問い返すと、あら、と驚いた様子で彼女は目を見張った。
「ご存じでここまでいらしたんじゃあなかったんですか?こんなお天気なのに歩いていらっしゃったから、誰かにお聞きになってわざわざいらしたのかな・・と思ってたんですけど。」
そこで私は恥をしのんで、いかにして自分の意志に関わらずこの路地裏に迷い込むはめになったか、を逐一説明した。私の細かい説明の間中、彼女は唇をほころばせたり、時に大笑いしたり、また心配そうに眉をひそめたりと、大変表情豊かであった。
そうそう、西洋人のお年寄りって目の色が薄くてなんとなく怖いですよねえ、とか、ああ、そのおばさんはあなたのコートがとっても素敵だから、どこで買ったの?って聞いていたんですよきっと、などとあれこれ解説まで付けてくれた。
「あの・・この通りの近くに友人のアパートがあるんですが。ここに戻るにはどうすれば・・・。」
一通り説明を終えると、私はポケットに入れておいた通りの名前を書いたメモを彼女に見せた。
「ああ。この通りならそんなに遠くはないですけど、でも・・・」どきりとした。
「え?なにか?」
「あの、交差している通りの名前はメモしていらっしゃらないんですか?」
「交差している通り・・・。い、いえ。それはちょっと・・」
「南北に走る通りと東西に走る通りの両方の名前が解らないと、どの辺りかはこれだけでは・・多分ダウンタウンのどこかだとは思うんですけど。全然思い出せませんか?」
全く思い出せない。頭の中は外の雪と同じぐらい真っ白だった。
「そう・・。あ。じゃあ近くに何か大きな建物とか、目印になりそうな何か変わったものとかありませんでしたか?」
「大きな建物・・・。いえ。特には・・。変わったもの・・。変わったものというか、変わった店なら。」
「どんなお店ですか?」
「それが、何を売っているのかよくわからないんですが、その・・妙な形の彫刻とかあと中途半端な長さのギリシャ風のへんちくりんな柱とか・・・そういうものをたくさん並べているお店が近所に・・・。」
「ああ!半地下になっていていつも誰もいないお店!」
「そう!そうです!」
「あそこの近所なら私よく知ってます。私の家もそんなに遠くないですよ。」
助かった!
「では地図かなにか書いていただけませんでしょうか?」
恐縮しながら頼むと、
「あら。でもまだ雪もやんでいませんし、多分バスもタクシーも今夜は走っていないと思いますよ。地下鉄は・・・やめたほうがいいですね。」と少しからかうような表情で彼女が言った。さらに、「もしよろしければ、あと1時間ほどでもうお店を閉めますので、それまで待っていただけるのでしたら、お宅の近所までご一緒できますよ。多分今日は歩いて帰ることになるかな、って思ってましたから」とまで申し出てくれた。
男たるもの女性に家まで送ってもらうなどとんでもない話だ、と冷や汗をかきながら相当に抵抗したのだが、どうせ同じ方向だから、と何度も言ってくれる彼女の好意に結局甘えることになってしまった。
本心を言うと、地図を書いてもらったところで、無事にアパートに辿り着ける自信など全くなかったので、彼女のこの申し出は大変ありがたかったのだ。
それからの1時間は、小さな店の隅のテーブルで彼女と雑談をしながら過ごすことになった。
他の客はみな常連客のようで、あまり彼女も彼らに気を使う様子はなくずっと私の席に向かい合って座っていた。静かな音楽が流れる中、低い声の会話が音楽と溶け合い、心地よいざわめきとなって耳に入ってくる。
雪はまだ降りやまない。

Wannadies

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2007年7月 7日 (土)

街の名前−5−

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『街の名前』

助かった。まずそう思った。
看板とライトがある限り、何かの店がそこにあり、人間が少なくとも一人はいることが確実だ。
皮底の靴が滑らないよう十分に注意しながら、私は出来うる限りの速度で近づいていった。もう少しで声の届く距離だ、と思わず足を早めた時、はたと思い当たった。何語で話しかければいいんだ!?
踏み出した足を止めた時、看板の向こうの人影が顔を上げるのが見えた。
そして片足を上げたまま私の体は宙に浮き、背中から雪の上に落ちた。
「痛たたたたた。」
顔をしかめ、肘を雪の上について体を起こそうとしていると、細い手が私の前に差し出された。見上げると、女性らしき人影が私の方に身をかがめて心配そうに覗き込んでいる。
「あの。あ。う。い。え。」
咄嗟のことに日本語すら出てこない。そんな私を見て、さらに私の方に手を伸ばしながら、「はい。大丈夫ですか?」と、思いがけないことに日本語が彼女の口からこぼれ出た。
白い街で出会ったその女は、白い服に身を包み、片手には白い猫を抱いていた。
まっすぐな髪が腰の辺りまで届いている。屈み込んだ細い身体の線にそって、美しい髪が滑らかに曲線を描く様子が印象的だった。瞬きをしない黒目がちの瞳が、じっと私を見つめているように見えたが、近づくと私の背後の白い雪がその瞳の中でゆらゆらとゆれているのがわかった。
すみませんすみません、としきりに恐縮しながら彼女の手をかりて立ち上がり、コートの雪をぱんぱんと払い落とした。
「今お客さんが、看板の下に迷い猫がいるよ、って教えてくれたので。」
私が猫に向けた視線に気が付いたようで、猫の白い背中を撫でながら説明してくれた。
うずくまっていた人影は、彼女が猫を探していたのだ。

彼女に導かれて店内に入ると、そこは小さなレストランだった。入り口のすぐ横に小さなバーカウンターがあり、鏡貼りの壁沿いには見たこともないほどたくさんの種類の酒類が置かれている。カウンターの中のやや低い天井では、大きな扇風機のようなものがゆっくりゆっくりと回っていた。ガス灯のような形のランプが店内のあちこちの壁に取り付けてあり、柔らかな光を放っている。
雪のせいか、客は私のほか3組だけだった。静かな音楽が流れ、人の話し声がかすかに聞こえてくる。暖かい空気が柔らかく全身を包み込み、小さなテーブルについた私は心底ほっとした。
ごそごそとコートを脱いでいると、彼女がやってきて、「あの。頭に巻いていらっしゃるマフラーはもう取ってもいいんじゃないですか?」と言った。
そうだ!バスから降ろされて途方に暮れながら、雪が頭に積もって風邪をひいては大変だと思い、とりあえずマフラーを頭に巻いてアゴの下で結わえていたのだった。
真っ赤になって大慌てでマフラーをはぎ取り、何事もなかったかのように、コートと一緒に椅子の背中に丸めて掛けたが、コートが重すぎたのか、小さな木製の椅子が派手な音をたててひっくり返った。あたふたと椅子を立て直していると、ついに彼女がくすくすと笑いながら「コート、お預かりしますね。」と私の手の中のコートを受け取って店の奥に持っていってしまった。
ほうほうの体で改めて席につき、ため息をついてしばらくの間放心していると、彼女が温かなココアを持ってきてくれた。甘く温かいココアでやっと身体の芯まで暖まり人心地つくと、今度は猛烈な空腹を覚えた。するとタイミング良く、「お腹は空いていませんか?」と彼女が優しい微笑みを浮かべながら聞いてくれた。
「実は遅い昼食に甘い変なパンみたいなものを食べたきりで・・・。」と私が答えると、「今日はこんなお天気なのでシェフがさっさと帰ってしまって・・。スープとパンぐらいしかありませんけど、それでよろしければ。」と言ってくれた。
「ええ。ぜひ。」と急き込んで答えて、またくすくすと笑われてしまった。
まだくすくすと笑いながら、彼女は早速厨房から温かいスープの皿と、柔らかい白パンを山のようにバスケットに盛って運んでくれた。
「もう今日はお客さんはおしまいでしょうから、たくさん食べてくださいね。」と言いながら、テーブルの下で毛づくろいをしていた先ほどの猫を抱き上げ、彼女はまた厨房のほうに戻って行った。
彼女の肩越しに、猫が私をじっと見つめていた。
ガラス玉のような金色の瞳がきらきらと光っているが、これもまた窓の外の雪を映しているのだろうか。
外に目を移すと、雪が積もった窓枠沿いに磨りガラスが曇っている。
暖かい室内から見るとどうして雪はこんなに柔らかく暖かげに見えるのだろう。

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2007年7月 6日 (金)

街の名前−4−

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『街の名前』

誰かの咳払いとビニール袋のカサカサとこすれるような音で、私ははっと目覚めた。
最初、自分がどこに居るのかさっぱりわからず、寝ぼけまなこできょろきょろと辺りを見渡した。
自分がバスの後部座席からずり落ちそうになって座っていることに気づくと同時に、誰かが前方で大きな声で話しているのが聞こえてきた。慌ててもう一度回りを見渡すと、老人が大きな紙袋やビニール袋をガサガサいわせながら、前の扉から大儀そうに降りて行くところだった。
私を除いて老人が最後の乗客だったようで、車内に他に人影はない。
窓の外を見ると、勢いは多少衰えてはいるものの、まだ雪は降りやんではいなかった。ここはどの辺りだろう。
窓の外はたいそう暗く、わずかな雪明かりと街灯の頼りなげな灯りでは何もわからない。
一人残され、居心地悪くもぞもぞと座り直していると、また運転席から何か声がする。
どうやら私に話しかけているようだとようやくわかったのは、バックミラーに映る黒人の運転手の目がこちらを見ているのが見えたからだ。
白目が暗闇にぎらりと光り、とても怖ろしい。
どうせ近づいたところで何を言われているのかわかるわけではないのだが、運転手が『こちらに来い』と手招きをするので、恐る恐るバスの前方まで移動した。
じっと私の目を見ながら、何度も何度も同じ言葉を繰り返す運転手に向かって、何が何やら訳が解らず次第にパニックに陥り始めた私は、ただひたすら「ノー。ノー。イングリッシュ。ノー」と呪文のように繰り返した。
すると運転手はわざとらしく「ハー」とため息をついて首をふりながら、ごそごそと小汚い紙切れをポケットから出し、ちびた鉛筆で何やら走り書きをして私に手渡してきた。その文字を見て、私の顔からその日二度目の血の気がひいた。

「LAST  STOP」

情けないことに運転手にしきりにお辞儀をしながら、大慌てでバスを降りてしまった私は雪の中、全く見覚えのない通りに一人取り残されてしまった。
バス通りには雪が相当積もっているようで、よろよろと立ち去ったバス以外には車の影さえも見えない。
車の走る音も、人声も、犬の声さえも聞こえてこない。
遠くにサイレンの音がかすかに聞こえているが、あとは雪の降り積もるサラサラという音だけが全てだった。
茫然と四つ角に立ち、辺りを絶望的な気分で見回してみた。
頼りなげな街灯が一本ぽつんとたっている。
その光を仰ぐと、光の中にだけ雪が鮮やかに映し出され、幻惑された目には雪が降っているのか中空で止まっているのかわからない。
反対側の角に目を移すと、公衆電話らしきものがあるのが見えた。
大急ぎで近寄ってみると、受話器が引きちぎられ、電線が何本もはみだした無惨なワイヤがふらふらと揺れていた。
落胆したが、よく考えてみれば、あの部屋の電話番号など私は聞いていなかったし、第一電話などがあの部屋にあるのかどうかも定かではなかった。
人影が全くない通り。降り止まぬ雪。
見知らぬ街の見知らぬ通りに一人取り残され途方に暮れ、子供のようにおいおいと泣き出したい気分になってきた。

Snowbench
落ち着かなければ、と、まず空を仰ぎ深呼吸をしてみた。
頭上を見上げると降りしきる雪が私の遠近感を奪う。雪が私に降り注いでいるのか、私が空に向かって上っているのか・・・。
その姿勢でじっとしているとだんだん気が遠くなっていくような気がした。
すーはーと深呼吸している私の目を大粒の雪が直撃し、思わずあっと声をあげて顔をふせた。
目をごしごしこすっていると、視界の隅で何かが動いたような気がして心臓が大きく波打った。
ここで悪漢に襲われたり、犯罪に巻き込まれたらまず命はないだろう。おそらくは春が来て雪解けが来るまで私の死体さえ発見されないのではないか。
いや、こんなくだらない事を考えている場合ではない。
何分の一秒かの間に、役に立たないありとあらゆることが私の頭の中を駆けめぐったが、体のほうは考えるより早く動き出していた。
どんなことがあろうと、今の状況よりはましなように思えたからだ。
私の立っている四つ角から伸びる、一本の細い通り沿いにほんのりとオレンジ色の灯りが揺れている。
雪明かりを頼りに目を凝らしてみると、小さな門灯が見えた。少し近づいてみると、その下にVの字をさかさにした形の小さな看板のようなものが置いてあるのがわかった。
看板の向こうに誰かがうずくまっている。

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2007年7月 5日 (木)

CELEB★TIMES

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今日も連載はお休みです(すでに連載じゃないじゃん)。
というのはですね、お仕事でとってもお世話になっており、また買い物化け物ツアーお仲間であり、アホ話仲間でもあるゼタさん(仮名)(←あたりまえじゃ)が、このたび新しい雑誌を刊行発売されることになったので、そのご紹介をしたいと思います。
その名も『CELEB★TIMES』。
セレブ★タイムスですよ。セレブですよ。
内容はといいますと、セレブとファッションとお買い物とお化粧とダイエットと……だと思います(はっきりせんかい!)
いや。だってまだ中身を見ていないんです。表紙はこんな感じです〜。

Cover1
↑7月6日(金)全国の書店コンビニで発売!

ゼタさんのノリの良い文章で、ミーハーな世界にどっぷり浸かると嫌なことは地平の彼方へ飛んで行きます。
ゼタさんといいますとですね、ジョンボンジョビの大ファンでらして、今回の人生の目標は『ジョンボンジョビにハグしてもらうこと』だったんです。
何故『だった』と過去形かといいますと、つい先だってのファンの集いで、ついにジョンボンジョビにハグしてもらえたそうなんです。で、彼女の人生の目標の大半はもうすでに達成されてしまったので、後は全部おまけみたいなもんらしいです(知らんけど)。
それを聞いたとき『そんなアホな』と一瞬思いましたが、私だってヨン様にギューとかチューとかあれとかそれとかこれとか(何?)してもらったら、もしかしたら後の人生全てどうでもよくなるかもなー、とちょっと納得しました(アホか)。
とはいえ、おまけな人生でも、彼女の精神力体力ミーハー力の全てを出し切って作り上げたこの雑誌。是非お手に取ってみてください。
いやー。売れてくれなきゃ困るんです。
なぜって、発刊第一号が売れたら、もしかしたらのもしかしたでNYの軽薄ミーハー人生のお手本としてリンコもお仕事もらえるかもしれません。ので。買って下さい買って下さい買って下さい(だまれ)。
そうそう。
ゼタさんは、実は妙齢の美女。
元巨乳(元だけど今も名残はある)で美人で知的でセクシーで、そりゃもう魅力的な女性なんです。
彼女がNYに遊びに来たときのことです。
二人で私のアパートのロビーを歩いていると、背後から「レイコー」とブキミなドス低い声が聞こえてきました。
振り向くと、同じアパートに住む美容整形外科医アナコンダ(あだ名です)(←当たり前じゃっ)でした。アナコンダは、無駄に身長が高くて、無駄に幅も広くて、無駄に顔がデカくて、無駄に唇がアンジェリーナジョリー風で、無駄に髪の毛が黒々していて、そりゃもう言葉では表せないほどブキミなおっさんなんですが、いかんせん医者で金持ちで赤いポルシェ(うげえ)なんかに乗ってるもんだから、女性に不自由しないらしいです(本人談)。そういわれてみれば、アホみたいに赤いポルシェのてっぺんをアホみたいに開けて、アホみたいに乗り回しているのをよく見かけますが、大概いつも違う女性を助手席にのせています。
金さえあれば女も何もかも、この世は俺様の思うままじゃ、と思い込んでいる(んじゃないかと思う)、リンコの一番嫌いなタイプのおっさんですが、これがまたちょっと良い女と見ると鼻の下を100メートルぐらい伸ばしまくって、そりゃもう不気味さ百万馬力。
ゼタさんのドレスの胸元にじいいいっと視線が集中しているのを横から見て、その部分が腐るんじゃないかと心配になったほどでした。
リンコはちゃんとした大人じゃないので、こんなキモいおやじに話しかけられるのイヤじゃ光線丸出しで、すこしずつ後ずさりしていましたが、ちゃんとした大人のゼタさんは、愛想良くお話相手になってあげていました。
アホみたいにシャツの袖をまくり、アホみたいに股上の長いジーンズをはいているアナコンダが「バーイ」と言ってやっと立ち去り、あーキモかった、と思った瞬間、ゼタさんが一言
「気持ち悪い人ですねえ」。
さ、さっきまで、あんなに愛想良くお話していたじゃないかー。
ほんとは気色悪かったのかー。
「リンコさん。なんかだんだん後ずさりしてませんでした?」
してましたともっ。
「お嫌いなんですか?あの人?」
お嫌いですっっっ。
「ああ。わかります。キモいですよね、あの人」
気持ち悪い人、と思いながらもちゃんと大人な会話ができるゼタさんが、私は大好きです。
なぜかアナコンダの写真を持っていたリンコ(なぜ持っている?)。
後日ゼタさんにメールしてみました。
ゼタさんは『キモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいですキモいです〜〜〜!!!』と気が狂いそうな返信をくれました。
ていうか、立ち去った瞬間『気持ち悪い人ですねえ』と言われ、人をキモがらせるためだけに写真のやりとりをされるアナコンダって一体……。


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2007年7月 4日 (水)

July 4th

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今日はストーリーはちょっとお休みして、独立記念日の話題です。
リンコの住んでいるアパートは、イーストリバーのすぐ近所。毎年独立記念日には、花火見物の人で近隣は大にぎわいになります。
ホットドッグやアイスクリームの屋台が通りにずらりと並び、夕方には夜光塗料入りの輪っかを売るおやじなんかがあちこちに出没しはじめます。

今日はお友達と食事をしてからカラオケに行くはずだったんですが、お天気が悪いせいとそれぞれがなんとなく体調がすぐれなかったり予定が変更になったりしてキャンセル。大人しくチョビとすごす独立記念日になりました(ていうか、毎年そうだけど)。
ということで、今年は時間もたっぷりあることだし、毎年と同じように窓から花火をながめるのではなく、イーストリバーまで歩いて30秒の地の利をいかして是非花火をそばで見てみようという気になりました。

花火は大体9時過ぎスタートなので、8時40分ごろ家を出ました。
目の前にあるFDRドライブというハイウェイが花火見物のためにクローズし、市民に開放されています。
高速道路を歩くのって、なんとなく楽しいです。

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↑ハイウェイをぞろぞろと歩く人々。小雨が降っています。

朝からどんよりと曇った天気でしたが、いよいよ花火開始か?という9時頃、どしゃどしゃどしゃーっと雨が本格的に降り始めました。近所だしどうせ人ごみで傘なんかさせないわ、と思って傘を持参しなかったアホな私は、頭から足の先までズブ濡れ。ひーとつぶやいてうつむいて立っていたら、後ろに立っていたチャイニーズのおばさんが「ポンチョ、いる?」とふところから予備のポンチョを出してくれました。まるで女神様のようなおばさんに、ありがとうありがとう、と何度もお礼を言い、緑色のポンチョを頭からかぶり、花火態勢万全。
と思ったら、今度は右隣に立っていたヘンな男が自分の持っている傘をぐるぐるぐるぐるぐるぐるまわして水をはじき飛ばし始めました。
こらーっ。迷惑じゃないかーっ。
と言いたかったけど、なんか言い出せずにぐっと歯を食いしばって我慢しました(珍しく)。でも、雨も小やみになり花火が始まったというのに傘を閉じないそいつに、群衆の非難が集中。
“こらーっそこのアホ男ーっ。傘を閉じろバカーっ。”
と何度も罵声を浴びましたが、いっこうに気にしない様子のそいつ。
3回ぐらい殴ってやろうかと思いましたが、さすがに初対面で通りすがりの男を殴るのは気が引けたので(初対面じゃなかったら殴るのか?)、しばらく我慢しました。
しかし、花火の写真を撮ろうとカメラを構えたリンコの腕や頭にバカ男の傘がささりまくり、ついに堪忍袋の緒が切れたリンコ。
ばしーっっ。
と。
さすがに男本体は殴りませんでしたが、傘を殴りました(微妙に小心者)。びっくりした顔で男が私をじいいーっと見ていましたが、周辺の人々が「そうだそうだ。お前が悪い」という雰囲気に満ち満ちていたので、男はやっと傘を畳みました。
その後もそいつは、誰か知らんけどきっとこいつにしょっちゅう迷惑をかけられているであろう人に電話をかけ、相手が出た瞬間に「Listen!」とだけ言って夜空の花火に向かって携帯を掲げたり(かけられたほうはいい迷惑だと思うが)、「あーつかれた」と言ってしゃがみこんだり、なんか花火の次ぐらいに気になる行動をとり続け、リンコの花火への集中をそらす迷惑な存在であり続けました。
しかし、今年の花火鑑賞はリンコにとって生まれて初めてと言っていいほどの至近距離体験。降り注ぐような花火の迫力もさることながら、その音のすごさといったら。お腹の底から響くような大音響は、本当に迫力がありました。
子犬の頃から花火が大の苦手だったチョビは、8歳ぐらいまで独立記念日というとおもらしをしていましたが、大人になった今はやっと平気になったみたいで、10時半ごろ帰宅すると、鼻がガビガビに乾いて粉をふいていたので、ずーっと寝ていたみたいです。
高速道路歩行体験も、至近距離独立記念日花火体験も、今年はとってもスペシャルでした。ずぶぬれになったけど、行ってよかったです。

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↑迫力あります。感動しました。

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↑花火に見入る人々とエンパイア。

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↑すごいですすごいですすごいです。
音も迫力があって、ちょっとお腹を壊しそうになりました(何故)。

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↑毎年大勢の花火見物パーティー客がやってくるので、厳戒態勢のロビーです。
帰宅したころは、静かでしたが、出て行く時は順番待ちの行列ができていてびっくりしました。

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↑お腹をすかせたチョビ。独立記念日だろうが何だろうが、関係ありません。
食べものさえあれば幸せ。




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2007年7月 3日 (火)

街の名前−3−

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すいませんです。
物語の前に、ちょっと一言いわせてください。
ラップトップのデータ、全滅でした(涙)。
『カリフォルニアに送ればもしかして取り戻せるかもだけど、多分1000ドル以上かかるよ』と言われ、泣きながら諦めました。
というわけで。600ドル戻って来ます。(iдi)あーうれしい(iдi)
こんな『バックアップ取らずデータ紛失女』のために、皆さんコメントを残してくださって、本当にありがとうございます。
一度皆さんへのお返事特集をしたいと思っていますので、しばしお待ちくださいね。
もう少しデータ消失ショックから立ち直ってから、お返事特集させていただきます。とほほーのとほほのとほとほとほほ。


『街の名前』
空腹が満たされると、少し元気が出てきたのでもう少し近所を歩いてみようという気になった。空は相変わらずどんよりと曇り、雨か雪でも降りだしそうな気配だったが、色とりどりのコートに身を包んだ人々で通りはたいそう混雑し、色と音と活気に満ち溢れていた。
部屋から見えていたギリシャ風の彫刻の店をのぞいてみたが、半地下の店内に人影はなくしんとしていた。角を曲がると中古レコード屋や古本屋などが立ち並んでいたが、その隙間に小さな古いフランスパンの店があるのを見つけた。しまった、ここで昼食を買えばよかった、明日はここに来よう、などと考えてウィンドウに顔を近づけて中を覗いていたら、店の暗がりの中から白髪の老人が、白く長くのびた眉毛の下からおそろしく険しい目つきでこちらを睨みつけていたので、びっくりしてその場を離れた。

Bakery_nolomo

一つ向こうの角まで出るとそこは大きな通りで、ますます人が増え賑やかだった。御手洗が、ニューヨークは碁盤の目のような街なので、北と南、そして通りの名前さえ覚えていれば迷子にはならない、と言っていたのを思いだし、その角で看板を見上げ、通りの名前をメモしてから歩き出した。いろいろな店をひやかしながら相当歩いたところで、向こうから歩いてきた黒人の女性が突然何か言いながら、私の着ていたコートの袖をぐいとつかんで振り回しはじめた。びっくり仰天してひきつっていると、さらに何事かしきりに話しかけてくるのだが、さっぱり返事をしない上に、真っ青になり顔をひきつらせている私を見て、大きな声で笑い私の背中をぽんぽんと叩いて彼女は立ち去ってしまった。その豪快な笑いにつられて私もはははと力無く笑ってしまったが、ものすごく間抜けな顔をしていたのではないか、と気になり、近くの店のウィンドウに自分の顔を映して笑い顔をつくってみた。すると今度は中に座ってお茶を飲んでいた白髪の老婆二人連れにげらげらと笑われてしまった。恥ずかしさに寒さも忘れ、ばたばたと駆け出しそのまましばらく歩いていると、ついに空からはらはらと小雪がまいはじめた。すると周りにいた人々が、にこにことそれは嬉しそうに空にむかって手を広げ、一斉に何事が言っている。これは私にもわかった。「雪だ」「雪だ」と大の大人が降り始めた雪に大喜びしているのだ。私のそばにいた女性も「雪よ!」とうれしそうに笑顔を向けてきた。普段の私なら、寒さと冷たさに首をすくめ、慌てて家路を急ぐところなのだが、余りに嬉しそうな人々の様子に私までなんだか幸福な気分になり、もう少し歩いてみようか、と思った。しかし、10分も行かないうちに雪は本格的に降り始め、皮底の靴をはいていた足はみるみる内に冷え上がり、足先の感覚が無くなってきた。アスファルトの歩道はどんどん白くなってゆき、私の頭や肩にもさらさらとした粉雪が積もり始める。これはそろそろ限界かな、と向きを変え、引き返そうとしたとき目の前にバスが止まった。そういえば御手洗はこんなことも言っていた。この街のバスというのは実に単純な路線でなりたっている。つまり街を縦に行き来する路線と横に行き来する路線の二種類のみなのだ。だからひとつの路線のバスに乗っていれば街を縦か横にぐるっと回ってかならず元の場所に戻れる。英語がわからず地下鉄も危険でお勧めできない君のような人には、移動手段としてはバスが一番確実だね、と。思えばあの話をしたときから、御手洗は私をアパートに置き去りにする算段をしていたのだ。
突然、身勝手な同居人に対する猛烈な腹立ちを覚え、半ば凶暴な気分で目の前のバスに飛び乗った。料金をコインで支払うとバスの一番後ろの席に陣取り、窓から街を眺めながらのんびりと雪見バス旅行を決め込んだつもりだった。

超近代的な高層ビルディングと百年以上前のビルディングが混在し、その間を縫う通りを、さまざまな髪の色、目の色、肌の色の人々が、楽しげに、賑やかに、騒がしくそして寒そうに歩いている。そんな風景をぼんやりと眺めているうちに、雪はどんどん勢いを増し、窓外の景色はみるみるうちにその色を失っていった。ビル街を抜けると突然あらわれた、広大な公園の木々が寒そうに広げる灰色の枝にも雪が積もり、まるで西洋の画家が描いた墨絵のように不思議で美しい。
音もなく降り続ける雪に、街は次第にその音さえも奪われ、静まりかえってゆくようだ。人も街も道も木も空も、全てが真っ白に真っ白に、ただただ白に染まってゆく。私の目に映っているこの街は、本当の姿を私に見せてくれているのだろうか。

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2007年7月 2日 (月)

街の名前

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『街の名前』

その日から、私達はマンハッタンの下町にある古いアパートの一室に滞在することとなった。どういういきさつからか、御手洗はこの部屋の鍵を所有している様子で、部屋の中にうなる程ある難しげな研究書や学術書等の背表紙を、解読可能な部分だけ拾い読みしたところから察するに(ほとんどの蔵書が英語だったので)、もしかするとここは御手洗自身の、私にも知らせていなかった隠れ家のようなものなのかもしれないと思った。その思いつきに少なからぬショックを受け、書棚に向かって突っ立っていると御手洗が奥の部屋から声をかけてきた。珍しい観音開きになっている重い木の扉をくぐって入っていくと、そこは意外にこじんまりとした居間だった。古いが大きくて心地よさそうな布製のソファと皮のアームチェアが二つ、暖炉の前にばらばらと置かれている。ソファの足下には分厚い本が何冊も積み上げてあった。木の床の上に敷かれた古ぼけた模様の赤い絨毯は、案外良く手入れされているようでとても柔らかで、白い漆喰の壁と良く合って部屋を暖かく心地よく仕上げていた。見上げると、馬車道のアパートよりはるかに高い天井と壁の境目のところに細かい彫刻が施されており、それが部屋をぐるりと取り囲んでいた。こういう装飾は百年以上前に建てられた建物にしか見られないんだよ、とまじまじとモールディングというその飾りに見入る私に御手洗が説明してくれた。五階建てのアパートの三階にあるこの部屋は、外から見ると、やはり凝った彫刻にぐるりと囲まれた両開きのガラス窓が三つ、通りに面して並んでいる。ここから特に際だった景色が見えるわけではなかったが、夜半まで賑やかな通りが眼下に見下ろせ、私の目を楽しませてくれた。アパートの反対側の通りには食料品を売る店があり、店頭には色とりどりの花が野菜と並んで売られていた。同じ通りの角には、奇妙な形の彫刻やギリシャ風の円柱などが通りにまであふれかえっている、得体の知れない店が見えた。いつもどこかしらから賑やかな音楽が聞こえてきており、通りを行く人々も大きな声で楽しげに話しながら、皆ゆっくりとした歩調で歩いていた。
うろうろとしばらく部屋の中を見て回った後、居間で二人で紅茶を飲んだ。今夜と明日の夜は友人のライブに行きたいが、昼間は特に予定がないのならゆっくりと観光でもするかい?という御手洗の言葉に、当然日程中ずっと一緒に行動してもらえるものと大喜びで頷いたものだったが、私は全く学ぶということを知らない人間である。翌日の朝、御手洗は一枚の紙切れを残して忽然と姿を消していたのだ。

寝ぼけまなこで居間のテーブルの上の御手洗の書き置きを発見し、私の顔から血の気がひいた。
なるべく街の端の方へは近寄らないこと。人気の少ない通りは避けること。ぼんやりと歩かないこと。キョロキョロと物珍しそうにふるまわないこと。等々の注意事項が箇条書きにしてあり、最後に、夜には戻るとつけ加えてあった。
薄情な同居人の走り書きを手に、初めての異国の地で今日一日を夜まで一人でどうやって過ごせばよいのか、私はしばし茫然としていた。ようやく気を取り直してシャワーを浴び、今から考えると大変な勇気があったものだが、食物を求めて一人で外出したのはその日の午後もかなり遅くなってからだった。
建物の中は暖房がよく効き本当に暖かなのだが、一歩外に出ると冷たい風が肌にささるように寒い。首に巻いたマフラーをもういちどしっかりとまき直し顎まで埋めると、寒い通りに足を踏み出した。
部屋から見えていた通りの食料品店におそるおそる足を踏み入れてみると、細長い店内にはありとあらゆる食料品が床から天井までぎっしりと並べられており、複雑な匂いと色の洪水がおしよせてきた。一体全体何をどうしたらどんな食物が手に入るのかさっぱりわからずウロウロしていると、レジの向こうから何国人なのだか何歳なのだか全く見当のつかない男が声をかけてきた。何を言われているのか分かるはずもなく、死ぬほど慌てた私はレジカウンターの前に積み上げられている菓子パンのように見えるものを二個程つかみ取り、それ以上話しかけられないようにあらぬ方向を見たり腕時計を見たりしながら勘定をすませた。ビニール袋に入ったパンを受け取り逃げるように店からあたふたと飛び出すと、私の背後で何か叫んでいる声がしたがお構いなしに小走りで通りを渡った。いったん部屋に戻って落ちついてから考えると、私はめまいがするほど甘い菓子パン二個に1000円程に相当する金額を支払ってしまったようだった。そうするとレジの男は「お客さんおつりおつり!」とでも叫んでいたのだろう。3ミリ程の砂糖の固まりにおおわれ、小ナベに一杯の砂糖と何かの果物を煮詰めたとしか思えないものが中に重たい程つまったパンを水と一緒に飲み下しながら、このことは御手洗には決して言うまい、と私は固く決心していた。

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2007年7月 1日 (日)

街の名前

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今日から数日、連載短編を掲載させていただきたいと思います。
別にサボっているわけではありません。
決して忙しいからとか眠いからとかナマけたいからとか独立記念日が近いから休みたいとか、そういう理由ではありません。
本当です。本当です。本当です。本当です。
これは、私の大尊敬する島田荘司先生に『リンコさん。何か短編を一つ書いてください』と、それはそれは素敵な低音で囁かれ(ウソつけ)、フラフラフラ〜となって書いたものです。
舞台はニューヨークです。
主人公たちは、島田先生の作品に登場する大人気探偵御手洗潔とその友石岡和己さんです。
加筆訂正は全く行っておりません。5年ぐらい前の作品ですので、読み返すのが少し恥ずかしいですが、それでも私の大切な思い出の一つです。あー。あの頃はもう少しまじめだったなー。とほほ
*******************

『街の名前』
バスのフロントガラスでは、古ぼけた二本のワイパーが右へ左へと不規則に動き、夕刻から降りだした雪をギシギシと音をたてて払っていた。
停留所のアナウンスなど全くない車内は、大雪の夜というのにほぼ満席だったが、暖房がよくきき、温風が吹き出すボーっという音とワイパーのきしむ音の他は静まり返っており、時折誰かの咳払いがコホンと聞こえてきた。初めは物珍しさに窓外に目を走らせていたのだが、日が落ちると同時に雪の勢いが増し余り風景がよく見えなくなってきた上に、車内が余りに暖かく静かだったせいで私はついウトウトとしはじめてしまった。“こんな所で眠ってしまってはいけない。”と、しばらくは必死で目を開いていたが時差のせいもあるのだろう、強力な睡魔に耐えきれず、とうとう眠りに落ちてしまった。

1980年代最後の冬、馬車道のアパートで私はのんびりと午後の紅茶と読書を楽しんでいた。そこへ午前中部屋にとじこもりっきりだった御手洗が、突然せかせかと部屋から出てきて私に聞いた。
「石岡くん。仕事の方は順調かい?」
「え?あ、ああ。昨夜丁度仕上げたところで、それで今やっとゆっくりとお茶を・・」
「いいね!それはいい!」
「?」
{では一緒にジャズでも聴きに行かないか?」
「今・・からかい?」
「いやいや。明日の夜・・・いや、明後日の夜ということになるのかな?・・・そんなことはどうでもいいじゃないか。とにかく抜群のライブがあるんだよ。プレイするのは僕の古くからの友人でね。」
「へえ。いいね。どこでだい?」
「カヴェ・ハズという店さ。」
そんな変わった名前の店、横浜にあったかなあ。東京の方かい?と訊ねる私を無視して御手洗はまたせかせかと部屋に戻りながら、一緒に行くね?と私の方を振り返って念を押した。当分の間特に予定のなかった私は、ジャズはよくわからないのだが御手洗の知人のライブだということだし、この男が“抜群”とまで言うのだ、よほどのものが聴けるのだろう、と思い、うん行くよ、と答えた。約束だよ、と子供のようにはしゃぐ御手洗を、ほほえましくなど思ってしまった私だったが、やはり私という人間はとことん甘くできている。それを翌日思い知らされた。

私が知人のライブを聴くために御手洗に連れて行かれたのは、真冬の、極寒の、地球のほぼ真裏の、犯罪都市として名高く、さらに最悪なことに英語が公用語であるアメリカの大都市、ニューヨークだったのだ。
機中や入国の際の私の醜態など今更語るに及ばないだろう。大体何故わざわざ言葉の通じない不便な場所に、貴重な金と時間を使って出かけなければならないのか。スチュワーデス達や通路を隔ててすわっている銀髪の紳士が、私の一挙手一投足にくつくつと忍び笑いをこらえている様子に、隣の席ですやすやと安らかな寝息をたてている身勝手な男を心底恨んだ。入国審査では、係官に何事か質問され、しどろもどろになった挙げ句貧血を起こしそうになり、午前中の到着にもかかわらず「コンバンワーアリガトーサヨナラー」と小馬鹿にした調子で手をひらひらと振って追い払われた時には、次の便で日本に引き返そうかと真剣に考えた。車を待つ間、落ち込む私の横でしゃあしゃあと、冬のニューヨークは空気がピンと張りつめていて清々しいねえ石岡くん、などと話しかけてくる御手洗を、私は不機嫌に無視し続けてやった。市内に向かう車中でも御手洗は、ほら、湖に鳥が浮かんでいるよ、何という鳥だろうね、寒くないのかな、だの、ああこんなハイウェイのすぐそばにお墓がたくさんあるよ、死者もおちおち眠っていられないね、などとまさか私の機嫌をとるつもりでもないだろうが、あれこれとうるさく話しかけてきた。しばらく黙って聞いていたが、余りのうるささについに抗議しようと目を上げたその時、私の目の前に異国の壮大な風景が広がった。

長い長い橋の向こうに突然現れた銀灰色の街。空にはどんよりと灰色の雲が重く垂れ下がっている。狭い島の上にぎっしりと隙間無く立ち並ぶビルは、どれもこれも恐ろしく高く巨大で、灰色の雲の隙間からわずかにさしこむ光を映して鈍く光っていた。ただただ見えるのはこんなに大きなビルばかりなのに何故だろう、どのビルのどの窓にも人々の息吹とエネルギーを感じた。この街は、その腕を広げ人々を迎える。橋を渡って夢をつかみにおいでと誘う。訪れる者を激しく圧倒しながらも、誰もが自分の力や夢を信じることを許してくれる。そんな街に私の目には映った。
口を開いて黙ってしまった私の横で御手洗もまた黙って前を見ていた。美しくて淋しい街だね、と言ったような気がするが、ぼんやりしていた私の耳には余りよく届かなかった。

Nyc_skyline_01_smaller_1  

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