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2007年9月13日 (木)

現場の声

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二日続けて悲しいお話でしたが、今日はちょっとまじめなお話を。

最近9-11の後、グラウンドゼロで働いた人々が色々な疾病を発症して問題になっていますよね。初めてこのニュースを聞いたとき、どうして今ごろこんな話が出てきたのかな、と不思議に思ったんですよ。

私が消防士のポールさんと知り合ったのは、かれこれ4年前ですが、その頃彼はすでに、FDNYの定期検診で肺に影があると言われていましたし、他の消防士さんたちも、グラウンドゼロで作業をした人たちのほぼ全員が、程度の差はもちろんありますが、みんな9-11以降何らかの症状を抱えているそうです。

今問題になっていることの一つは、グラウンドゼロの作業現場に、政府からのマスクを着用すること、という通達が現場の人々に行き渡っていたのか否か。行き渡っていなかったとしたら、責任の所在はどこにあるのか。などという話なのですが、これはまさに現場の声、ポールさんの説明を訊いてみますと、当時のグラウンドゼロはまさしく戦場。通達もへったくれもなかったそうです。色んな情報が交錯する中、彼ら消防士たちやレスキューワーカーたちは、ただひたすら、もしかしたら生きて助けを求めている人たちを一秒でも早く発見して救出することしか頭にはなく、それこそ自らの安全を顧みる暇もなく、ひたすら瓦礫の山を歩き、堀り、24時間働き通していたと。
マスクも色々な種類のものが配られはしましたが、どれも現場の気温や湿度などを鑑みると、全く実用性に乏しく、そんなものをつけていては作業にならないような状況だったらしいです。
今現在こうして問題になっている状況ですら、当時現場で働いていた彼ら消防士たちやレスキューワーカーたちに質問状やアンケートがまわってくるはずもなく、一体どこで誰が何を問題にして責任の所在を求めているのか、彼ら現場の人々には全く関係のないところで騒動がおきているような状況でもあるようです。

グラウンドゼロのただ中でそうして必死で働いていた彼らには、数ブロック先に冷たく新鮮な水が置いてあることも、ボランティアの人々が作ったサンドウィッチやハンバーガーが置いてあることも、また疲れた体をマッサージしてあげようとマッサージ師さんたちが簡易ベッドを置いて待ちかねていることも、全く伝わっていなかったそうです。
多くの友を失い傷心のまま1ヶ月ほどがたったある日、本庁から連絡があり『消防車が瓦礫の下から見つかったのでとりにくるように』と通達があり、グラウンドゼロまで行ってみると、粉塵で車内も車体も真っ白になったメチャクチャの消防車が道の真ん中に放置してあり、丸一日をかけて掃除をしなければ使い物にならなかったとか、私たち一般の人間には全く知らされない色々な出来事が、現場で働いていた人たちには起きていたようです。

テロの当日、たまたま休日だったポールさんは、朝コーヒーを飲んでいる時にラジオでニュースを知り、すぐに署に駆けつけたそうです。
もちろん他の消防士さんたちはすでに出動した後だったので、となりの工場に行きトラックを借りて、慌てて駆けつけてきた他の消防士さんたちとグラウンドゼロに駆けつけたそうです。
そうして駆けつけはしたものの、混乱をきわめていた現場では命令系統も何もかもメチャクチャ。使い古されたトランシーバーは使い物にならず、避難命令が聞こえずに犠牲になった消防士たちも大勢いたとのこと。
サウスタワーが倒壊した時、ポールさんは崩れてくるタワーと粉塵から走って逃げながら「ああもう死ぬ」と思ったと言っていました。走っている時に誰かがデリのドアを開け「早く入れ!」と叫んでいるのを聞き、そこらへんに転んでいる人の襟首をひっつかんで一緒に転がり込んだそうです。
走りながら背後を見たとき、ものすごい粉塵が背後から迫ってくる前を走ってくる5人の同じ署の消防士たちが見えたそうです。それが彼らを見た最後で、何ヶ月たっても何年たっても、どんなに必死で捜索しても、彼らの遺品は髪の毛一筋見つかりませんでした。
警察の人々も、消防士たちも、そしてレスキューワーカーの人々も、皆どんなに心傷ついたことかと思うと、私の胸も痛みます。それは、救助犬たちが、どんなに探しても探しても生きた人を見つけることができず、発見するのは遺体ばかりの状況に彼らの心が深く傷つき、鬱状態になる救助犬がたくさんいたというニュースを聞き、その思いはさらにつのりました。

先日の追悼式典で犠牲者の名前を一人一人読み上げているとき、制服姿の消防士や警察官に混ざって、ヘルメットに作業服姿のレスキューワーカーが、「We worked really really really hard. It was so hard beyond the words. 私たちは本当に本当に本当に、必死で救助作業を行いました。それはそれは、本当に本当に、言葉では言い表せないほどに」と言いました。

政府のプロバガンダを糾弾する映画を制作するのも、反戦活動を行うのも、責任の所在を追求するのも、みなすべて必要なことなのだと思いますが、何よりもこうした現場の人たちの声が、どれだけ多くのことを語っていることか。
世界中の誰にも通じる共通の言語は、この世に存在しません。百万人の人間がいれば、百万の真実があるのだと私は思っています。
それでも、疲れ果てた救助犬とレスキューワーカーが、寄り添ってグラウンドゼロの地面で眠っている写真を見ると、どこかに道は開けるかもしれない、という希望が湧いてきます。
まあ、ちょっと嫌なことがあると衝動買いをして無駄遣いをするし、うれしいことがあると友達とお寿司を食べてどんちゃん騒ぎをする私のような人間が何を言ってもあまり説得力はありませんけどね。ああむなしい。

追記:数年前ポールさんの署で行われた9-11追悼式典にご招待されました。署員全員とリタイアした年配の消防士たちも、全員ドレスユニフォームで参列し、それは壮観でした。みなが整列し、神父さまが祈りを捧げ、厳かな雰囲気で粛々と式典が進む中、誰がゲストとして招いたのか未だに謎なおっさんが突如登場し、September Dayというそりゃもうものすごいわけのわからん追悼ソングを歌い始めました。生ギターで。しかも、テープに録音した自分の声のコーラス付きで。
『セプテンバーデェエエエー(セプテンバーデーセプテンバーデー)』という感じです。わけがわからん上に、『私は朝起きた。コーヒーを作った。その光景はコーヒーを飲んでいる私の目に飛び込んできた。ああああああ〜〜信じられないそのできごとはああ〜〜セプテンバーデェエエエー(セプテンバーデーセプテンバーデー)』地獄の底で作ったのかと思うぐらい趣味の悪い説明的な歌詞の素人ソングです。
歌が始まったとたん、背後にいた長身の若い消防士がもぞもぞもぞもぞと落ち着きなく動き始め、隣のポールさんは、私がいすから落ちるんじゃないかと見張っている気配。前の席で消防車模型で遊んでいた落ち着きのない小うるさいガキまでが一瞬凍り付いたほどのへんな歌。マジで椅子から落ちるかと思いました。もう落ちてもいいかと思ったぐらいでした。椅子から思い切り転げ落ちて死ぬほど笑えたらどんなに楽かと思いました。ああ。今でも頭にはりついているあの曲。こんなに人々の心に残るなんて、もしかしたら名曲だったんだろうか。

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↑人気投票に影響するでしょうか。ドレスユニフォーム姿のポールさんです。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
昨年久しぶりにNYに行く前にいろいろ調べていて、リンコさんの本を知りました。
さっそく3冊購入し、現在まで私の愛読書になっています。
つい先日このブログを知りあと2冊あることがわかり、すぐにネットでオーダー
しました。
ちなみに私はフンフンさんのファンです(笑)
グランドゼロにも行きましたので、ここ数日のリンコさんのお話、
胸に響きました。またリンコさんの楽しいお話も楽しみにしていますね♪

投稿: naco | 2007年9月14日 (金) 12時14分

現場での体験談・・・混乱、恐怖、生死・・・想像を絶する世界ですね。胸に響きます。

お写真 2人ともとってもCute!

投稿: miyu | 2007年9月14日 (金) 10時35分

実は私も消防に知り合いがおりまして、あの9月11日から2・3ヵ月後にNYではありませんが、追悼式典に出席した事があります。
消防士のお仕事7つ道具がテーブルに並んでいるのを見て、持ち主のいなくなった道具達が可哀想に感じたのを覚えています。

消防士。
公休日でも何かがあれば必ず署へ顔を出す人達です。
「人の命を助ける」というDutyが身に染み付いた愛すべき人達です。
そんな彼らにGod Bless Them。

投稿: エドのママ | 2007年9月14日 (金) 05時12分

セプテンバーデー、聞いてみたいです。
CD化の予定はないのでしょうか。
そしてこんなときになんですが、ポールさん、やっぱかっこいいですう。足ながっ!
リンコちゃんのおみ足もキレー。

必ず来年はグラウンドゼロに行って黙祷してきます。

投稿: yayo | 2007年9月14日 (金) 03時14分

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