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2007年11月30日 (金)

怖い話3

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びくともしないドア。
ドアノブを握る手が、冷たくなってきました。
どうしよう。
反対側のドアノブを、あの女性の冷たい手が握っていたら。
この細い隙間から、彼女の白く細い指が見えたら。
長く濡れたように黒い髪が見えたら。
彼女の目が、
細い隙間から私を見ていたら。


そんなはずは絶対にない。
きっと何かが扉につっかえているに違いない。
もっと力を込めればドアが開いて、明るい太陽の光がいっぱいに満ちた
いつもの私の部屋が、そこにあるはず。


ドアのすぐ向こう側にある、あの恐ろしいもののことを必死で頭からおいやり、
ただひたすら、早くここを出て、いつもと変わらない自分の部屋を駆け抜けて
外に出よう、とドアを押し続けました。
早く早く早く。


怖さと必死で戦いながら、うんと力を込めてドアを押してみました。
奇妙に重たい感触のドアが

ずず

と動きました。

もう少し。
もう少しで部屋の中が見える。

力を込めてドアを押しながら、部屋の中の気配を伺ってみました。

人の気配も、いつもなら窓の隙間から聞こえてくる通りの人声や車の音さえ聞こえてきません。
少し勇気が出て、またドアを押してみました。

ずず

と音がして、ドアが開きました。
顔が出せるほどの隙間から、部屋の中を見ようとのぞいてみたら



ひっ


声にならない声がのどの奥で鳴りました。

さっきまで壁際に並んでいた白と黒のタンスが
トイレのドアをふさぐように、びっしりと並んでいました。

こわい
誰がこんなことを
こわい
こわい
こわい


逃げなくては。早くここから。
部屋の中には悪意と怨念が満ちているように感じられ、このままトイレに押し込められていては危険だ、という警鐘が頭の中で鳴り響いています。

渾身の力を込めてドアを押すと、まるで生き物のようにタンスが押し返してきます。
目の前には、真っ黒なタンスの取っ手が、まるで人の口のような形でぽっかりと開いていて、無駄な抵抗をあざ笑っているように見えます。
いやだいやだいやだ
こんなところにいるのはいやだ
絶対に外に逃げてやる
絶対に負けない

そう思った私は、タンスの向こう側にいる何者かをも押し返すつもりで、満身の力をこめてドアを押しました。
そんな私の心の力が通じたのか、突然ドアが大きく開きました。


部屋の中に転がり出た私。
倒れ込んだのは、冷凍庫の目の前。
見てはいけない。
早く。
玄関に走って。

けれど、私の目は、冷凍庫の上から誰かになぎ倒されたように床に転げ落ちた、ステレをと大きな箱に釘付けになっていました。
私の他に、この部屋には誰もいないはずなのに。
それともあれは、全部夢だったんだろうか。
目の前にある、この大きな冷凍庫には、彼女が買い込んだ色んな物が元通りに詰まっていて、この床に転がっているステレオやタンスは、全て私を驚かそうと思って仕掛けた彼女のいたずらなんだろうか。

心の奥ではそんなことはないとわかっているのに、あまりの恐怖心に凍り付いてしまった体をなんとか動かそうと、必死で救いを求めてあれこれ考えてしまいます。
そんなことより、とにかくこの部屋から出なければ。

どうしても視線がはずせない冷凍庫からは、コトリとも音がしません。
今、扉が音を立ててひらいたら、それだけで私の心臓は停まってしまうに違いない。そんなことになる前に、早くここから出なければ。


床を這うようにして、玄関に向かいました。
さっき戻って来た時にはいていた靴が見当たりませんでしたが、裸足で逃げ出す覚悟で動かない手足を動かし、必死で玄関に向かいました。




ガタン!




背後で大きな音が





ひっ
また思わずのどの奥で声が出てしまいました。
静かに。
静かにして。
あの女性に気づかれる前に
ここから出なければ。


焦れば焦るほど、手足がうまく動きません。
ああ。
あと少しで玄関のドアノブに手が届きそう


と、その時
背中を誰かに力一杯叩かれ
恐怖のあまり悲鳴をあげようとしたのに
声が出ません

誰か
誰か
誰か助けて



恐怖の汗で濡れた手で、玄関のドアノブを必死でまわしました。
背後には誰かが迫っている気配がありましたが、
もちろん後ろを振り向く余裕などありません。

走って
早く早く早く

うまく動かない手足を必死で動かし、逆方向に動くベルトコンベアの上を走っているような感覚で廊下を走り続けました。
広い階段を駆け下り、ようやくロビーにたどり着き、そこにいた大勢の人々に助けを求めようと駆け寄りました。



助けて


と背広姿の男性にすがりつきましたが、
彼は返事をしてくれません。
すがりつく私を見ている気配すらありません。
悪意は感じないものの、なぜ何も言ってくれないのか
不審に思って見上げると
彼の顔には目がありませんでした。

びっくり仰天して飛び退りましたが、見回すと、ロビーにいる大勢の人たちは、
皆彼と同じく目のない人たちばかりです。
そんな人たちが、あらぬ方に顔を向けながら、ふらふらとロビーの中を右往左往しています。
誰にとりすがっても、誰も助けてくれそうにありません。
すぐ横の階段からは、
上階からもの凄い悪意が駆け下りてくる気配が。


どうしよう。
なんとかしなければ。


その時、ポケットの中にマジックが入っていることに気がついた私。
目の前に居た背広姿の男性にもう一度とりすがり、彼の顔に無理矢理目を描き込んでみました。抵抗もせずなすがままになっている男性は、まるで福笑いのような顔になってしまいましたが、目を描き込まれたことにびっくり仰天してキョロキョロと周りを見渡しています。

お願い。
目を描いてあげたんだから、助けて。
どこから逃げればいいのか、教えて。

頼みもしないのに無理矢理顔に目を描き込まれたあげくに、そんな風に言われても気を悪くする風でもなく、彼はとある方向を指差してくれました。
その先にはガラスの扉が。


お礼も言わず、勝手に顔に目を描いたことを謝りもせず、
私は出口を目指して駆け出しました。


背後では、たったいま追いかけて来た悪意がロビーにたどり着いた気配がしていましたが、このドアを開けて外に出さえすれば、私は助かる。
その一心で、ガラスドアを開き、外に飛び出しました。



助かった…



次の瞬間、
私は暖かで明るくて安全な部屋の中で、ベッドに横たわっていました。


よかった。
もうこれで安心

こわかったけど
でももう大丈夫
ここまでは、あの女性も追いかけてこられないはず

よかった…





目を閉じると、快適な眠りにおちていきました。
なんて幸せなんだろう。
安心な場所で眠れることの、なんと幸福なことか。
まぶたの裏にも部屋の中の明るい光が満ちているようです。



よかった。
本当によかった。




しばらくして、浅いけれど快適な眠りから、徐々に目が覚めはじめました。
大丈夫。
ここは安全な、私だけの場所。
そう思いながら
徐々に目が覚め


薄く目を開けると






そこには



あの





大きな冷凍庫が









違う
違う
違う
そんなはずは



横たわったまましっかりと目を開けると
そこは元の部屋
目の端には、
あの冷凍庫が





違う
いいえ
ここはあの部屋
でも
私はこんなものに負けないはず
だって私には
この身体がある
どんなに邪悪でも
魂だけの存在に
負けるはずがない
絶対に
絶対に
私は負けないはず
だから早く
早く起きて
走らなければ
絶対に
勝つ
私が









と、大声でわめいて目が覚めました。
大汗をかいていました。
男性の顔に目を描き込むところでは、多分寝ながらげらげら笑っていたと思うし、目覚めの瞬間には大声でわめいていたし、隣に誰かが寝ていたら大迷惑だったと思います。あー一人暮らしで良かった。



102607_2108
↑私の立場は…。

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コメント

Every body understands that men's life is expensive, but different people need money for various issues and not every person gets big sums money. Therefore to receive good mortgage loans and just commercial loan will be good way out.

投稿: LESSIEMCNEIL | 2011年8月29日 (月) 22時41分

チョビちゃん、横で見てたんでしょうか。
寝ながらゲラゲラキャーキャー言ってる、母の姿を。
あぁ、チョビちゃんが不憫です。

でも、今回のお話って妙にリアルなとこがあって、全部が夢だったのか、それとも一部現実だったのか。
もし、一部でも現実だったんなら。
こえ~よ~。

投稿: ぞ~いのとうちゃん | 2007年12月 1日 (土) 22時51分

なんだか、綾辻センセの本を読んでるような錯覚に陥りますた。

投稿: Mr.White | 2007年12月 1日 (土) 12時52分

リンコさん ホラー作家になるのはやめてくださいね お願い!

YAYOさん 第9ステキですね。たっぷり歌ってきてください☆

投稿: miyu | 2007年12月 1日 (土) 10時09分

読んでいるこちらがリンコさんの夢の中に引きずり込まれて行くような不思議な感覚を覚えました。 映画の原作にしたいような・・・シャイニングみたいな。

投稿: ロンドン野郎 | 2007年12月 1日 (土) 06時16分

すっごい詳細に夢覚えてるんですね。
わたしゼンゼン覚えてないんですよね。
寝てる間に人は何個もの夢を見ているそうなのですが・・・
怖い夢見て目覚めたらすっごい疲れてそう。
どうせなら楽しい夢を見たいですね。
ヨン様と犬牧場でクリスピークリーム食べてる夢とか・・・

明日は第九の本番です◎
今からリハ行ってきまあす。

投稿: yayo | 2007年12月 1日 (土) 01時03分

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