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2009年5月21日 (木)

裁判員制度

日本で裁判員制度が始まったそうですね。
私は法的な知識もなーんにもありませんし、日本の裁判員制度がどういう内容なのかも全く全然これっぽっちも知らないんですけどね。
裁判員制度ってきいて思い出したのが4年位前でしたっけか、消防士ポールさんのお兄さんマットさん(裁判長ね)が殺人事件の審理をしている裁判所を訪ねて行った時のことです。
「ちょっとマットのオフィスに行ってみる?」とポールにいわれ、なんか知らんけど裁判所に行けるんだな、と思って大喜びでついて行ったんですよ。
そしたら裁判の真っ最中。
しかも殺人事件。
もちろん陪審員も被害者・加害者双方の親族も、全員勢揃いしている本物の裁判です。
陪審員の皆さんは、人種性別年齢バラバラ。
ウォール街のビジネスマン風から、近所の市場で大根買ってる最中に無理矢理連れてこられたんじゃあるまいかと思えるおばちゃん風まで色々です。
色々ですが、ほぼ全員「はよ終わらせてはよ家に帰りたいわ」と思っている風が丸出しでしたが、中でラテン系の濃い男が一人、超熱心な陪審員でした。
マット兄さんが読経がご詠歌のように読み上げる罪状(だと思う)に、部屋中に睡魔大王が蔓延していたというのに、そいつだけは超元気で超熱心で、時々うんうんと頷いたり、「まだ読みますか?」と『これ以上読みたくないから頼むから全員『ノー』と言ってくれ』と顔中に書いて時々陪審員に訊ねるマット兄さんの意志とは裏腹に「イエス!」と一人張り切って手を挙げていたのもラテン男でした。
新築の裁判所だったけど、ピカピカのベンチにはすでに落書きが目立ち始めていて、私の目の前のベンチの背中には『ファッキュー』と書かれていました。

途中休憩が入り、裁判長席の横に招かれた私とポールにむかってマット兄さんは
「こんな誰が見ても明らかな殺人事件なのに、あのあほう(←ラテン陪審員のことね)のせいで延々退屈な書類を読み上げさせられて死にそうじゃ」と文句をたれまくっていました。
裁判長がこんな態度でいいんだろうか?
と疑問を感じつつ裁判所を去りましたが、その一年後ぐらいにテレビを見ていたら、全然別の裁判で画期的な判決を出したということで、マット裁判長がテレビに出ていました。
朗々とよく通る声で判決文を読みあげるマット兄さんの凛々しい姿を見ながら
「あのタコのせいで夕飯の時間が遅くなるわっ」と憎々しげに文句をたれていたかつてのマット裁判長の姿を思い出し、再び『いいんだろうか、こんなことで』と思いました。

私は米国民ではありませんので、陪審員になる資格はありません。
でも、ええかげんにせんかい!と言いたくなる位、数年に一度、いえ酷い時には1年に一度、『陪審員になれ』通知が届きます。
それが届くと、いちいち『私が陪審員になれない理由とその証明書類』を送りかえさなければならず、『それをしないと逮捕するで』とまで書かれているんです。
ただ、陪審員に選出され裁判に出席すると、仕事は有給で休めます。
昔米系の出版社で働いていた頃、同僚のアメリカ人が陪審員に選ばれて数日仕事を休んだことがありました。
数日後彼女が出社してきたので、裁判のことを訊いてみました。

「何の裁判だったの?」

「うーんとね。ブーツ屋の雨漏りの裁判よ」

ブーツ屋の雨漏り…。

「ブーツ屋の張出し屋根から雨漏りがしてきて、それが家主の責任なのか二階の住人の責任なのかブーツ屋の責任なのかを争う裁判よ」

へー。で、どうなったの?

「そりゃもう家主の責任に決まってるんだけどね。中に一人うるさい男がいて、結審まで30秒ぐらいかと思ってたのに3日もかかっちゃったのよ。でも面白かったわ」

なるほど。裁判っていっても、殺人事件とか重大な刑事事件だけじゃなくて、雨漏り事件なんてのもあるのね。

「そうよう。殺人事件の裁判なんて、滅多に当たらないわよ。私だったらそういう裁判はごめんだわー。だって時間がかかって仕方ないもの。仕事を休めるのはうれしいけど、退屈なのよ陪審員の仕事って。何日も何週間も何ヶ月も呼び出されたら、たまったもんじゃないわー」

ということでした。

ことほどさように、個人主義で責任の所在を自らに認めない一般的なアメリカ人らしい発言だと思いましたが、日本ではこの制度、どんな風に受け止められているんでしょうかね。
人を裁く、ということはとてもとても重たく、痛みを伴うことだと思います。
けれどそれをもってして、何か社会的なものだけでなく、自分の人生や在り方に新たな見方や意味を見いだすきっかけにならないかしら、とも思うんですがね。
とにかく、もう始まっちゃったんだし、『恨まれたくない』とか『人を裁きたくない』って思うより、よしとにかくやってみるか!って思ったほうが気が楽かな、とも思うんですが、私甘いですかね。


↓陪審員にも裁判員制度にも縁のない、宙ぶらりんな立場の私。アイデンティティーは何処に?
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コメント

私のところにもなぜか葉書がきました?!
もちろん「できません」で返しましたが・・・
アメリカに来てまだ2年も経ってない、ただの駐妻なのに(笑)
記念に通知書を持って帰ろうかな(笑)

投稿: ゆりり | 2009年5月22日 (金) 23時33分

まぁ現実はそんなもんですよーねぇ(苦笑)

映画の・・・12人の陪審員?!だっけ・・・
ググッてぇ(笑)
ヘンリーホンダの「12人の怒れる男」みたいにはいかんなぁ(笑)
ほかに・・・
ポールニューマンの「評決」とか・・・
うるぅっと来ますが・・・

あ、日本の「12人の優しい日本人」もコミカルだけど・・・
内容は論理的な推理ドラマ仕立て風だし・・

ん?「陪審員」って映画・・・
どんなんだろう・・・

投稿: や!です。 | 2009年5月22日 (金) 21時56分

日本は、とりあえず罪を認めて、悔悛の情を示せば、量刑が軽くなって、運が良ければ執行猶予が付くという社会です。

逆に無実でも、裁判で下手に抵抗すると、「反省が無い」として初犯でも実刑になることもあるので、あえて罪を認めて早く終わらせた方が得っていう本末転倒の事例もけっこうあったりするようです。

そんな訳で、日本の裁判では有罪、無罪を争うことはあまりないみたいなのですが、最近とんでも冤罪事件も話題になっていることもあるので、裁判員は本当に責任重大。

でも、少しだけ、裁判員に選ばれることが楽しみなロンドン野郎です(確率はものすごく低い)。

投稿: ロンドン野郎 | 2009年5月22日 (金) 07時07分

突然のコメント失礼致します。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://sirube-note.com/fire-fighter/

もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
http://sirube-note.com/fire-fighter/link/register/
今後ともよろしくお願い致します。
FQH69pad

投稿: sirube | 2009年5月22日 (金) 04時13分

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