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2011年3月 3日 (木)

キャンピオン

このブログを始めた時。
一番最初の話題がメキシコ旅行でした。
なのでもうかれこれ4年か5年前?のことですよね。

この冬あまりにも寒かったせいか、暖かい土地への憧れがどんどん強まり、ユカタン地方を旅したあのときのことを頻繁に思い出し、ううう、またいきたい。でも野良犬ちゃんが多すぎて胸がしめつけられるのでやっぱ無理。という思いに悶絶しています。

あのユカタン地方旅行で出会った、一匹のものすごっく不思議な犬『キャンピオン』。
旅のはじめの方で宿泊したシャランテという名前の古い荘園ホテルにいた雑種犬なんですが、白地に茶ブチで胴回りがコロッコロのパッツンパッツン。シッポが妙な形に曲がっていて、耳も片耳がゆがんでいて、顔はピットブルと柴犬のハーフみたいな感じ。
そして、それはそれは本当に本当に賢くて賢くて勇敢で、なんといっても一番スゴかったのは、私の周りのどの人間の男性より紳士だったことです。

シャランテは朝食と夕食サービスがあるのですが、その時宿泊していたのは私とあともう一人の女性だけ。
朝食時と夕食時だけシェフがやってきて食事を出してくれるのですが、その他の時間帯は牧場の馬の世話やその他の雑用でアメリカ人女性のオーナーがそこらへんをウロウロしているぐらいでほぼ無人。お掃除もメキシコ人の男性が、さささーっとカンタンに済ませると、荘園内は夕食以降キャンピオンと宿泊客だけになってしまうんです。

とある夜。
私が庭に面したテラスで読書をしていたら、キャンピオンがそっとやってきて、本を読んでいる私を遠くからじっと見ています。
ふと顔を上げると、カレも首をかしげて真っ黒な目で私を見つめます。
「キャンピオン。こっちに来て」
と呼ぶと、ふと庭の暗闇に目をやり、何かを確かめるような顔つきになった後、スタスタとやってきて私の座っていたイスの横のカウチにゆったりと横たわりました。
それから小一時間、読書をしている私の横にいてくれたキャンピオンは、お昼間の尺取り虫みたいなだらしない有様とはまるで別人のように、グッと顔をあげ庭の暗闇や反対側の入り口に目をやり、何かを見張っているような様子でした。

そろそろ部屋に戻ろうかなと本を閉じると、キャンピオンはさっとカウチから飛び降り、立ち上がった私の横に寄り添い、私の顔を問いかけるように見上げました。

夜は防犯のためにテラスから部屋に通じる扉がロックされてしまうので、一旦裏庭に回って反対側のドアから部屋に戻らなければなりません。
真っ暗な裏庭を通り抜けるのはちょっとイヤだなあ、と思っていたのですが、裏庭に通じる扉のところまで私の横にぴったりとついて歩いていたキャンピオンは、扉を開けた瞬間サッと私の前に立ち、前方に何もいないことを確かめるようなそぶりをすると、クルリと私のほうをふりむき「さ。大丈夫ですよ」というような顔つきで頷いてみせ、今度は私の少し前をゆっくりと歩き先導しはじめました。
その姿はもう完全に『エスコート』です。

濃い芝生や草木の香りがする裏庭を抜け、私の部屋のドアの前にたどり着くと、キャンピオンは私がドアを開け部屋の中に入るのを見届けようとするかのように、少し離れた所に座りじっと見ています。
観音開きの大きなドアを開け放ち、「キャンピオン、今日は一緒に寝る?」と声をかけたのですが、キャンピオンはそこから微動だにせず、じっと私がドアを閉めるのを待っていてくれました。
ドアを閉めるふりをして、細く開けた隙間から覗いてみると、全く同じ場所に座ったままのキャンピオンと目が合いました。
うわっと思ってドアをピタリとしめ、鍵をがちゃりとかけると、ドアの外でカツカツカツとキャンピオンの爪音が響き、そしてそれが遠ざかっていくのが聞こえました。

キャンピオン。
元気にしてるかな。

懐かしくなったので、ダメもとで検索してみました。
『シャランテ、ユカタン、キャンピオン』で検索をかけたら、なんと!一枚だけ写真がヒットしたんです!
添えられていたのは、私と同じく女性の旅行者がシャランテで出会ったキャンピオンについて書いたブログの一文でした。

『好奇心旺盛で勇敢で変わり者だけど紳士のキャンピオンは、私が安全に楽しく過ごしていることを毎日確認してくれた』

うわー。
キャンピオン。相変わらずなのね。

嬉しい気持ちと懐かしい気持ちと、そしてちょっとだけ嫉妬心が。

ああ。また会いたいなキャンピオン。
そして、また夜には部屋まで送ってほしいなあ。
あと、お昼間芝生の上で巨大尺取り虫みたいにズズ……ズズズズズ……と匍匐前進移動する謎な行動もまた見たい。私を見るたびに、シッポをグルリグルリグルグルグルっと激しく回転させる技もまた見たい。
次会うまで、元気でいてねキャンピオン。

ちなみにキャンピオンは、英語ではチャンピオンだそうで。
なるほど。

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↑荘園に付属しているチャペルに通じる廃墟風壁と女性とキャンピオン。キャンピオン、今見ると結構足長いな。

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↑今日のキアヌ。デート?

↓キアヌの赤穂浪士・ハーフ侍にリン母。『なんでそんなことするのっ?』だって。そう言われても……。
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コメント

キャンピオン、なんて紳士なワンコなのでしょう!
すごく会いたくなりました〜。
『キャンピオン』というタイトルで映画が作れそうですよね。訪れる人たちのそれぞれのストーリーとキャンピオン。
キアヌさんにも出演してもらって、演じる役は謎のハリウッド俳優(そのまま!)。夜はキャンピオン相手にお酒を飲んで、誕生日にはバースデーケーキをキャンピオンと一緒に食べる……。
そして、リンコさんにもご出演いただく。
私の妄想ストーリーはともかく。
みんなに愛されているキャンピオン君。元気で長生きしてほしいです★

投稿: じょんみわ | 2011年3月 3日 (木) 21時11分

>嬉しい気持ちと懐かしい気持ちと、そしてちょっとだけ嫉妬心が。
リンコさんの言葉が、彼の紳士ぶりと彼との思い出を語っていて素敵です~。
こんな旅もいいですね!

投稿: KIYO | 2011年3月 3日 (木) 10時46分

メキシコでこんな素敵な出会いが
あったんですね~

私の中でのメキシコのイメージは
なんとなく暗い(映画の『トラフィック』
みたいな・・・)感じでしたが、リンコさんが
『また行きたい』って思うってことは
きっと魅力ある国なんでしょうね・・・

私もキャンピオンに会いたくなりました。

投稿: はなねこ | 2011年3月 3日 (木) 10時35分

とっても素敵です、キャンピオン。キャンピオンが人間だったら、デートしてみたいぐらい。(^^)
私の部屋まで送り届けてくれて、「じゃ。」の一言で帰っていくんでしょうね~。

投稿: meg | 2011年3月 3日 (木) 06時49分

旅先での素敵な動物との出会い。いいなあ…次回リンコさんが訪ねたら、きっとキャンピオン、しっぽを振りながら走ってきますよ!

投稿: Maggie | 2011年3月 3日 (木) 02時40分

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